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Yamaha MONTAGE

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MONTAGE(モンタージュ)は、ヤマハが2016年に発売した、シンセサイザーの最上位機種。それまでのMOTIF(モチーフ)と同様に、61鍵、76鍵、88鍵の3モデルが用意されている(写真は61鍵のMONTAGE6)。新しいカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit、大規模集積回路)「SWP70」を搭載し、PCM音源128音ポリ、FM音源128音ポリという発音数を誇る。PCM音源のポリ数は従来と変わっていないように見えるが、ステレオで128音を出せるので、従来の2倍に相当するという。また、SWP70はNAND型フラッシュメモリー上のデータを読み込んで処理できるため、従来より大容量の音データを利用できる。タッチパネルを採用したのも、同社のシンセとしてはおそらく初。使ってみた感じは、めっぽう複雑。機能が多過ぎてわからない。ただ、ここまで使った限りでは、期待を裏切られた、と思ったことが一度もない。メインキーボードとして、今後長く使っていきたい。

参考リンク

サウンド:目次

サウンド:Best of MONTAGE 1

買って最初に弾くのは、やはり「Best of MONTAGE」という、ライブセットの最初の2ページだろう。ここには32音色がリストアップされている。

Best of MONTAGE 1

サウンドコメント
CFX + FM EP
ヤマハのコンサートグランド「CFX」とFM(Frequency Modulation)音源のエレクトリックピアノを組み合わせ、スーパーノブと呼ばれるつまみでそれを混ぜられるようにした音。MONTAGEには2個のエクスプレッションペダルを接続でき、標準設定では、1個目が音量(cc11)、2個目がスーパーノブにアサインされる。両手で弾いていても、べダルでスーパーノブを回せる。これはなかなか素敵で、今回の録音では、右足はペダル2に乗せている。ちなみに、左足はサスティンペダル。前半はCFX、後半はFM EPを混ぜて弾いた。CFXの音はふくよかでいい感じなのだけれど、ある意味、リアル過ぎて、パワーに欠ける気もする。MOTIF初代、同ESのピアノとかにあった、力強さというか、強引さというか、デッサン画のような単純化された強さみたいなものがない。FM EPも、ちょっときれい過ぎるような。もちろん、昔と同じである必要はないので、これはこれで、今っぽい音と思う。
Wax And Wane
音色名の意味するものはよくわからない。ワックスが溶けていく?なんだろうか。動きのある音はKORGが得意で、WaveStationのシーケンスを伴う音色や、Trinityの「モーション」音色とかはすごくインパクトがあったし、今弾いても面白い。ヤマハのシンセはそうした音色が不得意であったと思うが、MONTAGEではそこに力を入れたと思う。「Best of MONTAGE 1」にはそうした音色が多い。
Pearly Gates
アルペジオ音色。ペダルを上下させるだけで雰囲気を制御できて楽しい。ただ、これを使って1曲作るかというと、それはそれで、簡単ではないような気もする。
DJ Montage
同一鍵盤の連打をこんな風にはできないので、それはやっぱり、機能を使いこなすことも必要なんだよね。
Rd 1 Gallery
クリアなローズ。自分で書いた曲の一部を弾いてみた。クリアできれいでいいんだけど、ちょっとキレイ過ぎかな?という気もする。パワーが感じられないというか。
Ocean Pad
「新しい春」という曲で使ったパッド(関連記事はこちら)。音が回って気持ちいいのだが、いざ曲で使うと音量変化の均一化が難しかった。
FM Sweeping Poly
ペダル2でモジュレーションのレイトを変えられる。面白いけど、ライブでこれをちゃんと聴かせるのって、SR(Sound Reinforcement)の真摯なオペレーションが期待できないアマチュアでも可能だろうか?
Tektonic Dub
こういうのって、流行してるんだろうか? EDM(Electronic Dance Music)風ってやつ? 私には、ちょっとピンと来ないかなあ…。
Wr Gallery
ウーリッツァー(Wurlitzer)の電気ピアノの音だろう。こう聴くと、なんか、アコピっぽい味があって嬉しい。ウーリーの音の中では、これまでに聴いたことがない味がある。本物を弾いたことがないので、どれがいいのかはなかなかわからない。
Seattle Sections
ストリングスは、音色が高度になるとそれに比例して弾くのが難しくなる。正直、エレクトーンD-30で黄色いトーンレバーを上下させていたころの方が、幸せだったように思う。もっとも、昔の機材でも、ヤマハSS30とかはけっこう弾くのが難しいので、昔も今も変わらないのかもしれない。
FM Linear Synth
いや正直、どうやって弾けばいいのかよくわかりませんです。
Particles in Space
アルペジオ音色なんだけど、これは、音をうまく少なくすれば、楽曲に使えそうな気もする。
All 9 Bars!
オルガンの音は好きだけれど、弾き方はわかりません。MONTAGEのオルガンの音は、レスリーの回転スピードの切り替えを、モジュレーションホイールでするようなんだけれど、どうやっていいのか、まだよくわからない。オルガンはほんと、奥が深くて謎。
8 Amps and a TC
TCは、テレキャスターのことなんだろうか? 私自身はギターをまったく弾けないので、どう弾くべきかは謎。ギターのシミュレーションは好きですが、なかなかうまくいきませんね。
Multi Saw MW DA
Access VirusのHyperSaw、Roland JP-8000のSuperSawをまねた音色。低域の量感があるのが好ましい。MWとDAは人の頭文字なのかも。DAはDaisuke Asakuraかな?
Turn It On
エンジンをかける音、ということなんでしょうか。未来の車の? 未来の車って、どうなるんでしょうね。つまらなくならないようにいろいろ工夫するんだろうけど。私自身は、今走っている車にも、なんか、あまり魅力を感じてない。お金がたくさんあれば、そう思わないのかもしれない。

サウンド:Best of MONTAGE 2

Best of MONTAGE 2
サウンドコメント
CFX Padded
コンサートグランド「CFX」にパッドを付加した音。パッドの音量はペダル2で調整できる。ちょっと荘厳に過ぎるかなあ。
SparkleDegree Full
「E.PIANO」だというが、パッドっぽい。ペダル2の位置によって音程の変わる成分があり、それが流れ星のようできれい。
Motion Filters AF
シーンボタンを使って、キーボードのカッティングのようにしてみた。キーボードで弾けないものをシンセで弾ける、というのは、機能的に意味があることだと思う。思うようにならなかったところもあるが、ご容赦願いたい。最後はMOTION SEQボタンを押してストップさせ、モジュレーションホイールを上げている。それによって唸りが出るが、活用しきれていない。
T3 Uber Funk
シーンボタンを切り替えることでドラムの演奏が変わる。途中からは、ペダル2を踏み込んでテンポを上げ、変にして止めてみた。
FM EP & CFX Grand
これは、アコピにFMを重ねたのではなく、FMにアコピを重ねたのだ、ということだろう。最後に雑音が聴こえるが、これはサスティンペダルを離した時のノイズ。これがあった方がいいのか、ない方がいいのか、微妙ですな。切るのが簡単だといいけれど。
Cathedral
聖堂のパイプオルガン。ペダル2を引くと小さな可愛い音。後半はある程度踏み込んででかい音にしてみました。
Universal Comp
「Synth Comp」と呼ばれる音って、どういう意味なのかなあ。圧縮された?かしら。この音色は、ペダル2を引くとかわいいポコポコ音で、ペダルを踏み込むと明るくなる。最後にはモジュレーションホイールも上げてみた。
Mr. Side Chain
KORGのTRITON、M3のKARMAとかを思い出す。これで曲になっちゃうよね。弾く音によって出音が大きく変わるので、シーケンスを再生しているんじゃなくて、「音色を鳴らしている」と言ってよいだろう。ライブでシーケンスを再生すると、演奏に緊張感がなくなり、実際に演奏している音とうまく混ざらず、いまいち、ということになりがちだけれど、こういう仕込みで鳴らすのは、運で音が変わる要素もあるし、失敗もあるし、ある意味、今っぽい「演奏」なのかなという気がする。ただ、この仕込みを自分で作るのは大変そうだ。
Upright Mod
シンセにおける「アップライトピアノ」の音というのは、どうも納得できないものがある。グランドより音が悪いのがアップライト、というわけではないと私は思っているからだ。原理的には、アップライトは、グランドより音が悪い理由はない。うちにはアップライトとグランドがあるが、音色はいい勝負である。うちの2台で違うのは、アクションの違いからくるコントローラビリティ、演奏性だ。となると、シンセのピアノは演奏性をプログラムできるかというと、そうでもない。そんなわけで、シンセのアップライトピアノ音色は「音の悪いピアノ」を意図したプログラムが多いが、それって、本物のアップライトピアノ(とそのユーザー)がかわいそうじゃないかな?と思う。
Two Acoustics 2
シンセくさい、偽物だー、と思わせる下手な演奏ですみません。でも、素人さん(シンセ弾きじゃない人、ギター弾きじゃない人)だと、本物のギターと区別つかないかも。私としては、練習していきたい分野の一つだ。
Wave Surfer
90TPQN(Ticks per Quarter Note、Pulses per Quarter Note=PPQN)のアルペジオ音色。シーンボタンを押して演奏している。けっこう、偶然に左右されるところもあって、楽しい。手でこんなもん弾けないし。
EDM PiTCh Bomb
音を作る人と演奏する人との組み合わせで、微妙に違う音になるのが面白い。シーン切り替え時にビートがこけるので、まだまだ練習が必要。本気でやるなら、フットスイッチでオンオフするとかの工夫も必要かも。
Full AP/EP/Pd/Str
アコピもエレピもパッドもストリングスも全部ありまっせ!という音。揺れが素敵。
Far Away FM
ペダル2(スーパーノブ)を下げ切った状態だとちゃんとアタックがあるんだけど、踏み込んでいくとアタックがフニャっとする。どういう意図でこうしたのか、ちょっと謎。
Marine Life
単なるエフェクトかと思いきや、シーンボタンを切り替えるとビートが出てくる音。
Kreuzberg Func
シーンボタン切り替えのタイミングがまずいのか、ビートこけてますね。最後のスイープはオートでかかる。

サウンド:Best of V1.5 1

ヤマハは2017年のNAMMショウでMONTAGE Firmware 1.5を発表。その1.5にはバグがあり、3月に1.51をリリースした。「Best of V1.5」は、1.5で追加されたパフォーマンスを紹介するライブセットのページ。3ページあるが、「3」はオルガン音色で、それを弾くのは恥ずかしいので、「1」と「2」でご容赦願いたい。

Yamaha MONTAGE Best of V1.5 1

サウンドコメント
SuperGlider MW DA
キューンと上がったり下がったりする音。シーンボタンの1はゆっくりのアップ、2は速いアップ、ここで使っている3はダウン&アップ、4は自動的な上下がない(スーパーノブまたはエクスプレッションペダル2で上下可能)。曲の最初とかで使えそう。
The Great Red Spot
パッドに上がったり下がったりが付いた感じ。ペダル2を踏み込むとノイズになっていく。
Dernt to Bwow
1曲作れてしまいそうなアルペジオ音色。こういうパーカッシブなプレイも、実演奏はなかなかできない。
Increasing Tension
これを、まじめに作ったらけっこう手間だろう。それを即興で作れるのが、今のシンセということか。
Flexi Filters AF1&2
面白い。昔と違う音楽の作り方をすべきなのだろうと考えさせられる。
Choir SEQ
最後は、MOTION SEQを切り、それからアルペジオをオフにした。こういう音、使っていくべきだろうと思う。
Rotary Bell Voices
後半にやっているが、ペダル2でモジュレーションのレイトが変わるのがいい。
Shapeshifter
ペダル2を踏み込んで調性が壊れる感じが楽しい。どう使うんじゃこれ、という気もするが。
Envelope Seq Scenes
ビートがあるパッド。使いどころを考えねば。
M-Seq Choir Pad
左手で通奏低音のCを鳴らし、右手でヒョロヒョロと即興をし、ペダルで上がったり下がったりする音をコントロールしたもの。大したことをしていなくても不思議な音になるのが大したもの。
Polyphonic LFOs
うん、MUSICAL FXだよね。どうやって使うべきか…。
Surprise Package
キーを押さえてシーンボタンを順番に押していけばこんな感じになる。すごいっす。
WaveRunner MW DA
ドレミファソラシドを弾きつつ、ペダル2とモジュレーションホイールを動かした、ような気がする。脳に嫌がられるタイプの音、なんだろうか。そうじゃない演奏方法もある?
Cold Motion
冷たいモーション、そうですな。
Motion PAD & ARP
ゆっくりなところと、ビートのあるところのつなぎがなかなかうまくいかない音。
Ethno ARP Beat
こんなの、指で弾けるわけないよね。今のシンセのプログラミングは、ビートのプログラミングを含むのか、と考えてしまう。

サウンド:Best of V1.5 2

Yamaha MONTAGE Best of V1.5 2
サウンドコメント
Shades of Yesterday
センチメンタルですね。いいですね。今回は弾いてから寝かしてしまったので、どう弾いたのかよく覚えていない。他人事のようなコメントになりがちだが、ご容赦を。
Glassbell Pindrops
昔米国に行った時、円筒形の金属パイプを複数吊るした風鈴があり、その音が素敵で欲しくなったのだが、日本でそれを吊るすと近所に嫌がられそうな気がしてやめた、ような記憶がある。この音を聴いてそれを思い出した。
Particle Pad
ペダル2(スーパーノブ)を上下させると耳障りなノイズが入る。でもそれも、音の作り手としては、意図したものではないだろうか。どう弾いていいのか迷った音。
African Garage Beat
すごいよなー、けっこう乗れるもんなー、と思う。
Synth Noise Vocoder
何を弾いていいのか迷い、うまく弾くこともできず、けっこう苦労した音。
Galactic Static
宇宙ものジェットコースターみたい。
Robot Junkyard
ロボットの墓場、でも、なんとなくうめいているのかも。
Infamous
この音にはシーンは2個しかなく、その2個もスーパーノブをどちらに振り切るか、だけのもののように思われる。よくできている。
Reflection Twinkle
エスニックな風合いのあるビート。たたき出す、つもりでシーンボタンを押してみたが、いかが?
Tribaltronic
大音量で聴いてね。
InsideTheWormhole
そこまで遠くへ行きたいとは、思わないっす。
Groovin Spheres
いや、よくできた音。私としては作者を尊敬するのみ。
Morph Waveforms
これは「ドーーーー(上の)ドシー」のように弾いた、はず。
Shaking Trees
ドンドコドンドコ、が素敵。
Orient Envelope
東洋風かというと、あまりそういう感じはしないけど。うーむ。
ATL Flexin
ATLって何だろう。Active Template Library、はないですよね、きっと。

サウンド:Piano - Acoustic

MONTAGEのピアノ音色を探してみた。まずは、カテゴリーのメインが「Piano」、サブが「Acoustic」であるパフォーマンスの中から、ピアノのみ、と言えそうな13音色をピックアップ。内蔵している波形の元となっているピアノが、CF3、CFX、S700、S6、アップライトピアノ(機種不明)の5種であることがわかる。

Yamaha MONTAGE Piano Acoustic
サウンドコメント
CFX Concert

CFXは、ヤマハが2010年7月に発売したフルコンサートグランドピアノ。希望小売価格1900万円。フルコンサート(フルコン)は、コンサートホールで使うことを主目的としたグランドピアノで、おおむね、奥行きが270cm程度ある。もう少し長いものも多くなってきていて、CFXの奥行きは275cmである。奥行きがあると、低音用に長い弦を張ることができる。長くできるので、細くできる。細い弦は、太い弦に比べてコントロールがしやすい。また、全体としての響きや音量も異なってくる。フルコンは、生産台数が少ないため、工程の中で、手作りする部分が多い。それも品質の高さにつながる。家に置けるなら、私も置きたい。

「CFX Concert」という音色は、4パート、18エレメントで構成されている。音色(パフォーマンス)を選んだ時の画面は以下である。

Yamaha MONTAGE CFX Concert

となっていて、4パートを使用していることが見てとれる。音色表示の左にある「View」をタップするとこうなる。

Yamaha MONTAGE CFX Concert View

パートが鍵盤のキーレンジのどこにアサインされているかが一覧できる。右にあるPART SELECTボタンの「1」を押すとこうなる。

Yamaha MONTAGE CFX Concert View Part1

となり、パート1で6エレメントを使っていることがわかる。よくできている。どんな波形(waveform)を使っているかを知るには、EDITボタンを押し、MOTION SEQ SELECTの「1」を押す。このボタンは、エレメント選択に使える。そうすると下の画面になる。

Yamaha MONTAGE CFX Concert Edit Part1 Element1

右上の「Name」欄を見ると、「CFX ppp St」となっている。使っている波形が、CFXの小さい音、ステレオであることが読み取れる。この音色では、ppp、pp、p、mp、mf、f、ff、fff、ffffの9種類を使っている。

弾いている時はパワーに欠けると感じたが、録音を聴いてみると、きれいで、粒立ちもよく、申し分ない。多くの音を持続させた後でサスティンペダルを離すとキーオフ音が「ガシッ」というのに驚いたが、これは、パート4を切るか、音量を落とせば調整できる。ヤマハのシンセはリバーブの質が高い。その良さも、この音に現れている。

MONTAGEのピアノでちょっと驚いたのは、ソフトペダルの実装がないらしい、ことだ。ソフトペダルを使いたいなら、ピアノ買ってね、ということだろうか。まあ、ソフトペダルを使いたい人や局面が多いとも思わないので、それはそれでいいとは思う。ちなみに、私がMONTAGEを使う場合は、フットスイッチ2はポルタメントにしている。

CFX Pop/Rock
CFXを、しっとりではなく、ガチャガチャ弾くための音色。イキがよくなっている。
CFX PopStudioGrand
ここまでのCFXと違い、1パート8エレメントとシンプルにまとめている。8エレメントの内訳は、ppp、p、mf、ff、fff、ffffの上下(G5あたりで分割)、キーオフ。自分でエディットするんだと、こちらの方が使いやすいかも。ペダルを離した時のノイズはないようだ。
CFX Moody
4パートを使ったCFXに、深くリバーブをかけたもの。リバーブが好きなので、受け入れられます。
S700 for Montage
S700は、ヤマハのグランドピアノの中で、かなりレアなモデル。東京都国立市のムサシ楽器で、かなり前から売られているが、398万円という価格のせいか、なかなか買い手が付かないようである(リンクはこちら)。S400という製品があって、Sは「SteinwayのS」だと言われている。S400は、バブル期に「スタインウェイに負けるか!」と作った奥行190cm程度の高級グランドで、高い評価を受けた。けっこう台数が作られたようで、中古市場でも時々動いている。それを、7サイズ(奥行220cm程度)で作ったのがS700である。S700は、生産台数が少なかったんでしょうな。S700のサンプルは、S90 ESに搭載されて高く評価され、MOTIF XF用のInspiration In A Flashという追加音色にも収録された。で、MONTAGEにも入った。CFXとは違う、名器の音と言える。1パート5エレメント(ff、mf、pp、mfの高音域、キーオフ)なので、編集もやりやすい。
Upright Piano
機種不明。多分、本当にアップライトを録音していると思う。アップライトピアノを、いい音のプログラムに仕上げようという意図が感じられ、好き。
Full Concert Grand
MOTIF XS/XFのピアノをそのまま持ってきたもの。元楽器はCF3(CFⅢ)。CF3は1983年からのヤマハのフラッグシップ・コンサートグランド。1パート8エレメント。MOTIF-RACK XSのピアノは今一つだなー、と思っていたけれど、それは、私の使い方に問題があったんだろう。改めて聴くと、いい。
Mellow Concert Grand
Full Concert Grandと同様にCF3の波形を使っているが、7エレメントで作りが微妙に異なる。これも、XS/XFと同じ音と思われる。
Glasgow
MOTIF ESにはこのプログラムがあって、XS/XFにもある。ただ、波形は、ESにはCF3と名が付いた波形がなく、XS以降ではCF3を使っている。英国の都市の名前は、なぜなんだろうか。リバーブがうまくかかっていて、MOTIF ES時代からけっこう気に入っている音。1パート4エレメント。
Romantic Piano
いやあ、深いリバーブですな。1パート5エレメント。CF3。XS/XFと共通。
Monaural Grand MW
モノラルのグランド。1点に定位させたい場合や、ライブで使う場合などに、モノラルのグランドも必要だ。けっこういい音。1パート8エレメント、CF3。この録音では使っていないが、モジュレーションホイールを上げるとデチューンがかかる。複数の弦がずれた感じを、適度に付加できる。となると、MWはModulation Wheelの略なのか。XS/XFと共通。
Concert Grand Piano
GMの1番。1パート8エレメント、CF3、XS/XFと共通。モジュレーションホイールでデチューンがかかる。弾きやすい。GMに慣れているから、なんでしょうなあ。
Natural Grand S6
S6は、1994年から作られている、6サイズ(奥行約210cm)の高級グランド。S400の後継としてS4が登場し、それのアップサイズ版。S4、S6は現行機種である。S6は某練習スタジオで1度弾いたが、ちょっと軽めの音、ヤマハならではのチュイーン音がコントローラブルであること、が印象的だった。このプログラムでも、強く弾くとS6らしいチュイーン音が少し感じられる。S6の波形は、MOTIF XFで搭載された。

サウンド:Piano - Modern

カテゴリーのメインが「Piano」、サブが「Modern」であるパフォーマンスの中から、ピアノのみ、と言えそうな6音色をピックアップ。CFXベースのものはない。

Yamaha MONTAGE Piano Modern
サウンドコメント
Acoustic Piano DA
Daisuke Asakuraなのかなあ、というピアノ。1パート1エレメントという潔い作り。波形はS700 ff St。うん。まずはシンプルに作った方が、エディットやりやすいもんね。S700って、どことなく、昔の響き(1990年ごろのバブル期)の響きがする。いいです。
Rock Grand Piano
1パート8エレメント、CF3ベース。リバーブを切っても、なかなかいい感じ。
Aggressive Grand
1パート3エレメント。CF3のフラット(ストレッチチューニングでない)をベースにしているが、高いベロシティでBrite Pianoという波形が「チュン」と重なっている。ちょっと、KORG M1ピアノを連想させるものがある。
House Piano
これもM1ピアノを連想させる。1パート2エレメント。CF3ベース。エレメント1はステレオで、高ベロシティで重なるエレメント2はモノ。エレメントが少く、自分で作るための基礎にしやすいかも。
Rock Brite Piano
GMのピアノ2番で使われている音色。1パート7エレメント、CF3ベース。
Piano Rock S6
1パート6エレメント、S6ベース。落ち着いた感じに作ってある。S700より、新しいピアノという感じがする。

サウンド:Piano - Vintage

カテゴリーのメインが「Piano」、サブが「Vintage」であるパフォーマンスの中から、ピアノのみ、と言えそうな5音色をピックアップ。弾いているのは「Misty」の一部。正直、古くて壊れかかったピアノ、という風情である。

Yamaha MONTAGE Piano Vintage
サウンドコメント
Old Blues
1パート3エレメント、CF3ベース。エレメント1はG5以下、エレメント2はG#5以上、エレメント3は波形が「Bd Snap 1-2」なので、主要は部分は1エレメントで作られている。ビンテージなピアノ、というよりは、単に古いピアノを模しているのではないかという気がする。音が伸びず、高域があまりない、という、ある意味、いたんだピアノだ。こういうピアノを使いたい局面は、というと、古い酒場でぼろいピアノを弾く、という映画のシーンだろうか。家庭のピアノ、という気持ちにも少しなれるかな。
1968
1パート5エレメント、CF3のストレッチ、モノをベースとしている。Old Bluesに比べると、少しいい音と言えるかもしれない。1968年、ということだが、1968年製造のアコピは、まだまだ現役バリバリなので、この音は、1968年のピアノの録音はこんな風じゃなかったかな、というイメージ音だろうと思う。我が家の1970年代のNYスタインウェイアップライトは、かなり華やかな音色で、ビンテージな感じはまったくない。
Honkytonk
GM4番。1パート4エレメント。CF3 Stretch Sw Stを、上下に分けて、重ねてデチューンしてある。複数ある弦がずれてコーラスがかかったピアノをイメージしているが、だったら、低音で弦が1本しかないところはどうなんだ、という気もする。らしい弾き方ができなくて、すみません。
Woody Piano S6
1パート8エレメント、S6 Stretchベース。これが木の響きかと言われると、どうも違うような。減衰が速いだけじゃん、という気がする。音が伸びすぎて困る、という時に試してみたい音。
Intimate S6
1パート6エレメント、S6 Stretchベース。弾いていると気付かないが、録音したものを聴いてみると、異音がしているように感じる。これは、わざとやってるんだろうなあ。演奏内容によっては気にならないのかもしれない。使ってみたい音。

サウンド:Piano - CP1

Yamaha CP1 Piano for MOTIF XF

「CP1 Piano」は、ヤマハの電子ピアノ「CP1」に搭載されているCF3S(CFⅢS)の波形を、MOTIF XFに移植したライブラリ(上の画像をクリックするとダウンロードページを開く)。MONTAGEでも読み込むことができ、必携のライブラリと言える。レイヤー音色を含む、16音色すべてを紹介する。

Yamaha MONTAGE CP1 Piano
サウンドコメント
CF Grand
無理に音を響かせてないというか、ちょっと引き気味というか、そこが特徴と感じる。元のピアノは、雄大で上品さがある。さすがフルコン。
CF Light
CF Grandとほんのわずかな違いなんだけど、弾き心地が大きく違うという職人芸。お見事。
CF Rock
これも、わずかな違いでロックっぽくしてある。ペダルを踏まない方がよかったかも。
CF Dark
リバーブが控えめなのがさすが。うまい。
CF&S6 Layer
2種類のピアノを混ぜるという、大胆な試み。現実にない音になっている。
CF Lyrical
ここではリバーブをたっぷり。そうじゃないのを聴いた後だけに、リバーブが嬉しい。
CF Comp
弾いている分には、ダイナミクスがあまりない分だけ、容易に音が出て気持ちいい。ただ、録音して自分でもプラグインでコンプをかけて、とかやっていると、揺れる揺れる。ライブ向きで、録音には適さないかも。
CF Ragtime
弦のチューニングをずらしたピアノ。標準搭載されている音色は、この手のものが一つしかないので、選択肢ができて嬉しい。こちらの方がいいかも。
CF Squashed
この音色は、どう弾いていいかわからなかった。
CF Ballad Key
CFに、「EP2」という波形を重ねたもの。ローズじゃないですよね。
CF 80s Layer
CFにDXエレピを重ねたもの。大好き。
CF Back
エレメント1から3がCF、4が「VP Strings St」。5と6は波形が割り当てられているけれど、発音していないように思う。この手の音は、Proteus 2000のものがすごく印象的だったのだけれど、これもかなりいい。
CF & Strings
OrchStrgsのSoft/Med/HardとEnsemble Mix Stがレイヤーしてある。CFは3エレメントあるが、上下分割とオフ音なので、1エレメントで作るのも難しくなさそうだ。
CF & Choir
エレメントの5と6は鳴っていない気がするが、何か操作が必要なんだろうか。
CF Unison
オクターブで重なったピアノ。なんか、ずるをしているような気持ち悪さがある。
Old Century
ここで言っているOld Centuryは、19世紀と20世紀のどちらだろう?

サウンド:Piano - Bösendorfer Model290 Imperial

Bösendorfer Model290 Imperial SAMPLE LIBRARY FOR MONTAGE

「Bösendorfer Model290 Imperial SAMPLE LIBRARY FOR MONTAGE」は、ヤマハ傘下のオーストリアのピアノメーカー「ベーゼンドルファー」の「290 Imperial」の音色ライブラリ。MONTAGE用に作られ、当初は無料でキャンペーン配布された。後に99米ドルで販売され、またその後にプロモーションコードを入力すると無料でダウンロードできるようになった(2017年10月時点、上の画像をクリックするとダウンロードページを開く)。約400MBあり、さすがの音。レイヤー音色を含む、16音色すべてを紹介する。

Yamaha MONTAGE Bösendorfer Model290 Imperial
サウンドコメント
Imperial Grand Piano
3パート13エレメント構成。リバーブがあまーく(いい意味で)かかっているが、EQ/FXボタンを押してREVERBつまみを左に回し切ればなくなる。リバーブを切ると、さらに木の香りが楽しめる。ヤマハがベーゼンを買ってくれてよかった。ヤマハのPCMシンセの価値が上がった。
Mellow Imperial
華やかさを少し絞ったもの。うまい。職人芸。
Imperial PopRock
録音したものはちょっとへなへなしているけれど、音色としてはけっこうしっかりしている。リバーブをちょっと調整すれば、練習スタジオで鳴らしても大丈夫だろう。
Dark Wooden Box
いい伸びしてますなー。
Two Grands
6パート30エレメント。ベーゼンとヤマハCFXをミックスした音色。複数のピアノを混ぜるのはうまくいかないことが多いのだが、これはなかなか面白い音色に仕上げてある。東洋と西洋のグランドのミックス。
Imperial Digi Pad
3パートがベーゼンで、FMの2パートが左右にパンして追加されている。いい。
Imperial Tines
PCMのエレピを加えたもの。ローズっぽくないエレピを選んでくるね。
Ambient Trailer
伸ばしておくとピッチが変わっているのかどうか、という揺れが入る。
Imperial Breakup
伸ばしていると歪んだ音が出てくる。いいセンス。
Imperial Strings
ストリングスのレイヤー音色。ピアノが主役なのかストリングスが主役なのか、弾くのに迷う。
Imperial Garage
インペリアルをガレージに放置したらこんな風になっちゃったよ、なんてことがあるとは思えないが。ホンキートンク音色を作って入れてくれてあるのはうれしい。よくできている。
In the Distance
こういうの、好き。リバーブ大好き。
Imperial Harpsichord
ピアノ波形でハープシコードを作ろうというその姿勢もいいし、できもいい。素晴らしい。
All Digital
インペリアルでM1ピアノを作ろうとした、ということだろうか。ちょっと重みがあり過ぎるような。
Imperial Jazz Trio
低音域にウッドベース、高音域にピアノ。背景にドラム。左手でベースを弾いて右手でメロディを弾く、という芸当は私にはできないので、内蔵シーケンサーでベースを録音し、その後でピアノを両手で弾いてみた。ドラムがよくできてる。すごい。
The Extra Pianist
アルペジオ音色。こういうのを入れてくれてあるのも、さすが。

サウンド:Chick Corea's Mark V for MONTAGE

大家Chick Coreaが、長年メンテして使ってきたRhodes Mark Vを最高レベルの技術者に依頼してサンプリングし、ラップトップに入れたら良好なレイテンシが得られなかったため、ヤマハに依頼してMOTIF XFに移植した、というライブラリ。MOTIF XF用に続いて、MONTAGE用のものが無償提供された(紹介ページを開くには、上の画像をクリック)。クリアで繊細で使いやすいRhodes。チックとヤマハに、ありがとう! 下で、16音色すべてを紹介する。

サウンドコメント
Chick's Mark V
いい感じのMark V。「Analog Delay Retro」がかかっており、SuperKnob(ペダル2)でディレイ量が調整できる。やさしさ、繊細さ、ちょっとしたとがり、といった、ローズの良さがうまく入っていて、これまで弾いたローズの中で、最高に近いものだと思う。これまでも、気に入ったローズというのはたくさんあって、一つはNord Electro Rack 2である。これにはIのStageとSuitcase、IIとVが入れてあり、エフェクターがとても使いやすい点が気に入っている。でも、「ピアノ音源」と「シンセ音源」では、できることの幅に違いがあり、「シンセ音源」も捨てがたいと思っていて、こういう音色が入手できたのはうれしい。MarkVらしい、クリアさ、軽快さがある。
CFX and Mark V
アコピCFXとMark Vを混ぜた音色。SuperKnobでミックスバランスを変えられる。アコピエレピレイヤーの音として、かなりのレベルのものと思う。歯切れの良さが素敵。
Mellow Amp
ここまでの2音色はひたすらクリアであったが、実際にローズを弾いてきた人は、ここまでクリアなものであるとは考えておらず、その点が少々うそっぽいと感じるかもしれない(うちにはMark II Stageがあるが、状態が良いものであると言える自信はない)。クリアな波形を歪っぽくするのは簡単なのよ、とエンジニアに言われている気がする音。
Overdrive Mark V
さらにオーバードライブ量を増したもの。SuperKnobで歪み量を調整できる。
Mark V Satellite
昔のRhodesにはサテライトスピーカーという製品があったようで、それをイメージした音らしい。私は単に、ディレイとコーラスが重いもの、かと思ったが。
Mark V Roto
ロータリースピーカーを通した音。Nord Electro Rack 2でローズを弾くとロータリーを通すのが簡単で「おお、面白いな」と思っていた。同好の士を見付けたようでうれしい。
Mark V Meets Strings
ストリングスをレイヤーしようという発想は普通。奇をてらってなくて、けっこういい。
Stomped Phaser
「VCM Phaser Mono」がかかった音。VCMはVirtual Circuity Modelingの略。
Mark V FM Pad
FM音源のパッドを2パートレイヤーした音。私の大学時代のメインシンセはDX7で、後にFB-01を追加したが、何にせよ、FM音源の時代であった。で、「ストリングスはアナログやPCMがいいよね」と言われると悔しかったわけだが、今でも、FMのストリングスやパッドは大好きである。ただ、ClaviaのFMがけっこうよくできていて、そっちの方が使いやすいのでは?と思うこともないわけではない。
Touch the Wah
音量によって周波数特性が変わる、オートワウがかかった音。私の記憶の中にある、ローズにワウがかかった音というと、Weather Reportのデビュー作のころにZawinulがペダルワウをかけていたものはあるのだが、オートワウというとどうも記憶になく、どう弾いていいかわからなかった。
Wah Clav + Mark V
クラビネットは私の苦手な分野である。Stevie Wonderが弾いていたような、とか、Jeff BeckのWiredのLed Bootsをコピーした時にちょっとまねたような、といったおぼろげな記憶しかない。
Ghost In the Mark V
守備範囲の広いPCMシンセの波形としてエレピがある、からできる音ではないだろうか。
Chick's Old EP
「Chick's Mark V」に比べて、微妙に古く聴こえるのはどうしてだろうか。プログラマさん、いい仕事してますね。素敵な音なので、自分の曲の一部を弾いてしまった。
Ambient Mark V
うまい具合にアタックを削っている。シンセ音源ならでは。
70s Solos
左手でコード、右手でソロを弾いてみた。アフタータッチでビブラートがかかるのがうれしい。チャンネルアフタータッチの場合、右手でアフタータッチをかける必要はなく、左手を押してもビブラートがかかるので、発音時にビブラートをかけて不安定さを演出することもできる。アフタータッチは、やはりビブラートですよね。
Accompanist Dreams
もう一つ、左手コード、右手ソロ、という音色。MOTION SEQがオンになっているが、有効になっているのかどうか?

サウンド:MONTAGE EXPANDED

Yamaha MusicSoftではMONTAGE用のライブラリをダウンロードでき、無償提供されているものもある。欧州ヤマハによる「MONTAGE EXPANDED」はその一つで、上の画像をクリックするとそこへジャンプする。必携の逸品。7音色を弾いて録音してみた。

サウンドコメント
CFX Grand & Soft EPX
CFXにFMエレピを重ねたもの。センスがよく、使いやすそうだ。音量も、ちょっと大きめにしてあるのではないか。MONTAGEのピアノは、ダイナミックレンジをきっちり出していて、MOTIFなどに比べて弱く感じられることがある。プログラミングにひと工夫必要である。それがなされている。
Oxygen
アフタータッチビブラートのかかり方、リバーブのかかり方が絶妙である。すばらしい。
Choirs At The MShore
ちょっと海を感じさせる人の声。センスがいい。今、シンセ界で元気なのは、やはり欧州だなと思う。
Cold Days in May
大音量でスピーカーから出して弾くと気持ちいいが、録音したら音量があまり稼げなかった。
FM-X Dream EP
最高のものだとは言わないが、センスがよい。
Strange BowBell
FM1パートで作ってるよ。うまいなー。
AN Strings AF1&2
昔ヤマハのAN音源の5音ポリ以上のやつ(AN1xとPLG-150AN)を使っていた人は、これを聴くと懐かしいのではないだろうか。やるなー。

サウンド:Synthogy American Grand

ニューヨークスタインウェイの「D」をサンプリングしたピアノ。99ドル99セントで購入した。上の画像をクリックするとそのページへ移動する。ヤマハのシンセにスタインウェイの音色は入っていないし、それがニューヨークとあれば、買わずにいられまい、と思った。ディケイがノイジーな気もするが、でも好き。16個のパフォーマンスすべてを紹介する。

サウンドコメント
AG Concert
AGはAmerican Grandの略だろう。ニューヨークスタインウェイのD-274である。スタインウェイであることは言っていても、ニューヨークであるとはっきり言っているのは、ちょっと珍しいかもしれない。ま、私は最近のソフトシンセをウォッチしていないので、それらではポピュラーなのかもしれない。ニューヨークスタインウェイであるのは、ちょっと嬉しい。うちにあるSteinway Fもニューヨークものであるからだ。AG Concertの音は、見事に中庸を行っている。響きはあり過ぎず無さ過ぎず、伸びもあり過ぎずなさ過ぎず、倍音も太さも暖かさも輝きも、すべてが中庸を行っているように思う。主張がない、単に「良い」としかいいようがない音であるのだが、だからこそ使いやすい。作り手の技量と経験を感じる。モジュレーションホイールを上げると音が回る感じを微妙に、または極端に付加できる(録音では使っていない)。実物のDもけっこう音が回って、それをうまく真似ている。いや、お見事。
AG Concert(with Padal)
ペダルを踏んだ時の音の残りは、これまた、多過ぎず、いい感じである。
AG Studio
AG Concertのリバーブがホール3.1秒であるのに対し、AG Studioはルーム1.2秒である。それ以外に何が違うのかというとよくわからないが、おそらく、いろんなシカケが施されているのだろう。モジュレーションはAG ConcertもAG Studioのどちらもバリエーションセンドに割り当てられている。バリエーションの内容は、AG ConcertがSymphonic、AG StudioがEnsemble Detuneである。参考になるなー。
AG Rock
ロックだからと言って、普通に使えないピアノではないというのがすごい。ジャズにも合いそう。
AG For Ballads
これも、バラードだけじゃなく使えそうなのがすごい。いいピアノってのは、何を弾いてもちゃんと応じてくれる懐の深さがあって、それに相通じるものを感じる。
AG Slightly Squashed
インサーションでVCM Compressor 376が入っていて、それで少しつぶしてある、ということではないかと思う。なんというか、どれもピアノエフェクトのお手本のようだ。
AG Soundtrack
映画のサウンドトラックでピアノが遠くで鳴る、というもの。美しい。
AG Big Detune
AG Soundtrackまでは2パートで、中低音と高音で分けてあったが、このAG Big Detuneは4パート使ってデチューンをかけている。ちょっと控えめなホンキートンク。
AG 100 Years Later
100年を経てちょっと壊れたピアノをイメージしたのだろう。モジュレーションホイールはバリエーションセンドで、バリエーションエフェクトは2 Modulatorである。モジュレーションホイールを上げると、アンピッチな感じが付加される。
AG Old Mono
使っている波形は、モノじゃないように思う。左右に広げてない、という意味かなあ。
AG with Tines
エレピレイヤー。エレピにはけっこう深いパンがかかっている。センスがいい。
AG and FM
アコピとFMが、あまり混ざらずに独立して聴こえるような気がする。FMを単体で聴くと弱々しいのだが、それがいいんだろう。うまい。
AG String Layer
ピアノとストリングスのレイヤー。それでも、このフレーズ弾いても大丈夫なのがすごい。ピアノにだけアルペジオがかかるようになっているので、ARP ON/OFFボタンを押してオンにするとまた楽しい。
AG Padded
パッドレイヤー。モジュレーションホイールを上げるとパッドの倍音が付加される。パッドの音量を下げるとさらにいい。
AG Trailer
ディレイを後ろに引っ張っているからトレーラーなのかな。時々見かける表現である。
AG Hammered
コメントには「Dulcimer AG」とあるので、ダルシマーをイメージしているのかも。ハンマーに加工したものをイメージしているのかも。ちょっとトイピアノ風でもある。
AG Shipwrecked
雑音を混ぜた音。これはちょっと、使いどころを考えねばならないかも。

サウンド:DX7のプリセットから移植

DX7の付属カートリッジに収められていた128音色から使いたいと思った38音色を選び、MONTAGEに移植した。懐かしい音だし、MONTAGEではエフェクトを付加できる。うれしい。

サウンドコメント
BRASS1h
プリセットの1番がブラス、というのが、昔らしくていいですな。このブラスは、DX7による新時代の到来を告げる音であったと思う。タッチレスポンスによる音色の変化が、それまでのアナログシンセとはまったく違っていたからだ。イニシャルタッチ、アフタータッチ両対応のシンセ、というのはそれ以前にも存在したが、CS80やGX-1なんて、買える値段じゃなかったから、その点でも、DX7は感動的だった。この音色を弾くと、ほんと、自分がDX7を買った1984年に戻れる。
STRINGS2h
FM音源のストリングスはあまり評価されていないが、個人的には当時使えたシンセはDX7だけだったため(CS-40Mは半壊)、よかろうが悪かろうが使わざるを得ず、このSTRINGS2は、編集してよく使った。FM音源の一つの弱点は高域が強くなりすぎるきらいがあることで、ここでは、フィルターで高域を若干抑えている。私はFM音源のパッドやストリングスが、大好きだ。
E.PIANO1h
DX7が売れた理由を一つ挙げるとすれば「エレピの音が出たから」だと思う。ちなみに、M1が売れた理由は「アコピの音が出たから」だと思う。身も蓋もない言い方だが。DX7エレピの代表的な音。
GUITAR1h
ビブラートはアフタータッチのみでかけ、モジュレーションホイールはバリエーションセンドを上げられるようにした。バリエーションエフェクトはアンプシミュレータである。後半はそれを活用している。今回作っていてちょっと不満だったのが、インサーションエフェクトでディストーションをかけると、エクスプレッションペダルの位置がどこでも同じように歪むということだ。ペダルを踏み込むと歪む、という風にはならない。バリエーションで歪ませると、一応それができる。まだ研究が必要である。
GUITAR2h
GUITAR2という音色は、DX7のみでディストーションギター風の音を出そうとしたもので、外部にディストーションをつなぐ必要がない。当時ディストーションをセットアップしてはいなかったので、これもけっこう使った覚えがある。今回は、モジュレーションホイールをバリエーションセンドにし、ディレイを加えることができるようにしてみた。
SYN-LEAD1h
DX7のリードとして、私が最初に連想するのはこの手の音色だ。アナログシンセとは違う。懐かしい。
ORCHESTRAh
これも、最初に聴いた時、弾いた時は感動したなあ。それまでなかった音だったよなあ。
E.ORGAN1h
この音は、アサイナブルスイッチ1でロータリーのスピードを切り替えられるようにして、モジュレーションホイールでディストーションへのセンドができるようにした。FM音源のオルガンも好きでした。オペレータが6個あるので、アナログシンセで作るよりは、はるかに楽だったから。
PIPES1h
パイプオルガンの音も、アナログシンセより作りやすかった。コルグのテープエコー(スプリングリバーブ内蔵)を質屋で2万円強で購入し、パイプオルガンの真似をしてました。オーケストラにエキストラで呼ばれて、パイプオルガンのパートをDX7で弾いたこともあった。パイプオルガンのあるホールでできるとは限らないからね。
VIBE1h
大学1年の学園祭で吹奏楽団でルパン三世のテーマをやって、その時に、メロディをDX7のビブラフォン音色で弾け、と言われたことがあったように記憶しているが、記憶は正しいだろうか。なんというか、エレピ的に使いたくなるような音色で、本物のビブラフォンとはだいぶ違うと思うが、でも、アナログシンセでは出せなかった音。
FLUTE1h
これもよく使った。アフタータッチのビブラートがきれいにかかり、アタック部分でそれをかけることで、立ち上がりの揺らぎを表現することができた。MONTAGEでも同じことができて、とても嬉しい。ありがとうヤマハさん。
TUBBELLSh
チューブラーベルズも、生の吹奏楽団だかオケだかで、要求されたことがあるような気がする。
VOICE1h
DX7は音色のパラメータが限られていて、演奏に関するパラメータは一括になっていた。ポルタメントタイムもそいうであった。フットスイッチでポルタメントのオン/オフを切り替えていた。今のMONTAGEでもそうしている。ポルタメントのフットスイッチがない人は、パート1のポルタメントの設定を変更してください。
PIANO5h
DX7によるアコピのシミュレーションは、本物とは似ていないけれど、でも、それなりに魅力的であると思う。ヤマハはFM音源のエレピ作ってたなー。
E.PIANO2h
このプリセットは、どこかのオペレータの周波数を1オクターブ変えるといい、というような記憶があるのだが、今回やってみて、どれだかよくわからなかった。
ACCORDIONh
これも、アナログシンセより、似てた。ただ、弾くのが難しい音色である。アコーディオンについて、よく知らないのがいけない。
FLUTE2h
DXのフルートって、味があるなー、と思ったりして。
OBOEh
本物とほど遠い録音になってしまった。フィルターかけて高域少し削った方がよかったかなあ…。
CLARINETh
FM音源は、方形波はけっこうきれいに出る。
STRINGS4h
STRINGS2と、あまり変わらないですね。そういうのを選んでしまっているということか。
RECORDERh
リコーダーに似ているような、似ていないような。
HARMNCA2BCh
「BC」はブレスコントロールをすることを想定した音色であることを示す。DX7で、この音、よく吹いてました。ただ、MONTAGEにはブレスコントローラーの端子がないし、ブレスコントローラーはもう作られていない。再製造を望む。うちはDX7もEX5もある。
VOICE2h
人の声に似ているかというと疑問だが、でも好き。
VOICE3h
このボイスけっこういい。ふわふわした感じが素敵。
GLOKENSPLh
グロッケンシュピールには、音を止める機構がないため、サスティンペダルを踏んで弾いた方が、グロッケンっぽいと思う。
VIBE2h
ビブラフォンはこんな音ではない、と思いつつ、ルパン三世を弾いてしまった…。
XYLOPHONEh
ザイロフォン(シロホン)はどういう音だっけ? 何にせよ、こうしたパーカッシブな音は、DXが得意とするところであった。
BELLSh
このベルも、アナログシンセではなかなか出せなかった音だ。
BLOCKh
PCM音源にないあたたかみを感じる、とかいうと、笑われそうだな。ノスタルジーというやつでしょうか。
LOG DRUMh
けっこう重みのある音が出ている。ナイス。
SYN-LEAD2h
リードは、なんか似たような音を選んでしまう。
SYN-LEAD4h
自信を持って堂々と弾けないところが情けない。
SYN-PIANOh
モーション音色を先取りしている。いい感じ。
SYNBRASS1h
BRASS1と、似た傾向の音を選んでしまった。
SYN-VOXh
さすがだなと思うのは、MONTAGEのリバーブ。シンセ内蔵のものとしては、けっこういいと思う。
SYN-ORCHh
丸くチューニングしてしまった。
SYN-BASS1h
FMのベースは、うーん、あまり使ったことがないかも。
T.BL-EXPAh
複数のオペレータをうまく使ったモーション音色。伸びる音にだけ、ビブラートがかかるようにした。

サウンド:DX7 IIのプリセットから移植

DX7 IIのファクトリープリセットをMONTAGE用にコンバートし、その中から使いたい98音色を選んでMONTAGE上でエフェクトをかけるなどの調整を施したもの。レイヤーになっているものや、レイヤーの一部と思われるものもある。DX7 IIは購入したことがないので、新しいシンセを手に入れたようなうれしさがある。「FullTines」は大のお気に入り。

サウンドコメント
CLAVITAR1h
最初は「キーボード」カテゴリーに分類したものから。音色を移植するにあたり、モジュレーションホイールはビブラートにアサインすることが多いのだが、キーボードカテゴリーの音色だと、ビブラートが不要なことが多く、この音色ではリバーブセンドを割り当てている。録音最初はあまり送っていなくて、最後には送っている。DX7は、この手の音色は大変に得意であった。DX7が売れた理由は、エレピとして実用になった、譜面台があった、ことではないかと私は思っている。MONTAGEのFM音源も良い。ベロシティに応じた変化が心地よく、ノイズが少なく、長いディケイがきれいに出る。エフェクトは高品質。音色の編集はこれまでのFM音源の中で、最も楽。ポリ数もこれまでで最大である(TX816も128音かもしれないが…)。この音を弾いただけで、MONTAGEはお気に入りであると断言できる。
E-PIANO1h
発音していない時はノイズが少ないが、発音している時にはデジタルなノイズが聴こえる。モジュレーションホイールはコーラスセンドに割り当てており、それを上げるとさらにノイズが来る。でも、その汚いところが、また、いいんだなあ、と思わせる。強くたたくと「ツーン」という音がする。これ、ヤマハのFMでないと、なかなか出ない音ではないだろうか。
FM-P1h
ヤマハは一時期、家庭向けにFM音源のエレピを作っていたように記憶している。PCM音源登場以前のことだ。今はPCM音源全盛だが、今改めて弾くと、FM音源で作るピアノ音は、大変にバリエーションが豊かであると思う。正弦波を変調してこれらが出るのは驚きだ。この音色は、しっとりとあたたかい。
FMP.3h
ちょっとベル風味が付加されたピアノ。PCM音源は、どうしても元波形に左右されるところがある。FM音源にはそれがなく、現実には存在しないピアノを作れる。
FullTinesh
DX7 IIのプリセット移植で、最初に移植したのがこの音色だ。これを弾いて、できるだけ移植しよう!と決意した。モジュレーションホイールでコーラスセンドを加減できるようにして使っている。フィルターをかけて、CUTOFFつまみで倍音の量を簡単に調整できるようにした。
GR.PIANO2h
やさしくて素敵なピアノ。本物に似ているかどうかは、どうでもいいことのように思える。
GrandHarpsichordh
きれい。とにかくきれい。
GRPIANO1h
DX7はFMピアノという、新たなジャンルを確立したなあ、と思う。モジュレーションホイールはリバーブセンドにアサインした。この録音では使っていないと思うが。リバーブを少しかけてペダルを踏んで弾くと、至福のひとときである。
HardRoadsh
モジュレーションホイールを上げてコーラスに送り、ペダルを踏んで弾くと幸せ。
HardTinesh
DX7とDX7 IIにはエフェクターが内蔵されていなかった。今はそれが楽々できる。DXピアノにはアタックに工夫を凝らしたものが多いが、これもその一つと言えよう。
HarpsiBoxh
いい音。モジュレーションホイールはリバーブセンドに割り当てた。
HarpsiWireh
これもいい音。ハープシコードも、バリエーション豊かに作れる。
HONKEYTONK1h
6オペレータのデチューンだけでなく、さらに音を揺らす工夫をしているようだ。何をやっているのかわからないが、すごい。
KnockRoadh
音名に引きずられて無用にハードヒットしてしまったが、しっとり弾くと、それはそれでいい音。
notHONKEYTONK3h
弾いてみたら全然ホンキートンクでなかった。コンバート時に何かおかしくなったのかも。
OldUprightPiano+Stgh
ピアノとストリングスの2パートを使い、モジュレーションホイールでストリングスの音量を調整できるようにした。自分でまじめにやるんだったら、エクスプレッションペダル2でそれができるようにすると思う。他の人が利用できるように、ここではモジュレーションホイールを使った。
PianoForteh
ピアノフォルテがどういう音をしていたのかというと、私にはよくわからないが、どんなもんでしょうね。この音自体は好み。
RHODESh
エフェクトなしでもかなりのもので、リバーブやコーラスを付加すると至福。これを弾いた後では、PCM音源のFMピアノが嘘くさく感じられる。
RubbaRoadh
いやあ、本物のヤマハFMだわ、と思わせる。強く弾いた時の音のつぶれ方がいいんだよね。
StereoElectricPianoh
「KnockRoad」と「HardRoads」の2パート構成。録音時にピークがあったようで大人しい音になってしまったが、弾いた感じは音量大で大迫力。
StereoTinePianoh
2パート構成。モジュレーションホイールを上げるとストリングスがかぶるようにしてみた。
WAW-CLAV1h
どこがワウなのかはちょっと謎。
WAW-CLAV2h
このままだとちょっときれい過ぎるかも。エフェクトで汚すとクラビネットらしくなるかなぁ。
HAMMONDh
ここからは「オルガン」カテゴリー。まずは、やさしい音。なんかプチプチノイズが入るんだけど、これは、元のプログラマがわざとやっているのかなあ。モジュレーションホイールは、バリエーションセンドに割り当てて、ロータリースピーカー1に送っている。センドリターンでロータリーを使うのはちょっと嘘くさいんだけど、とりあえずこれで。
HarmoniumAh
モジュレーションホイールはリバーブセンドに割り当てている。リバーブ量がカギなので。アフタータッチでビブラートをかけるようになっていて、これは本物とはほど遠いのだけれど、不安定さを演出するには、悪くないのではないだろうか。
HarmoniumBh
私は基本としては、やさしい音が好きなのだろうと思う。この録音ではリバーブをかけているが、モジュレーションホイールを引き切ってリバーブなしにして弾いても味がある。録音の最後にあるビブラートは、余計だね。
PERC.ORG.1h
ハモンドの名機のパーカッションは、最初の1音しか発音されないらしい。DX7でそれをやるのは、まず不可能ではないだろうか。そんなわけで、パーカッションがいつでも発音するという偽物くさい音であるわけだが、でも、エレクトーンD-30のパーカッションは常時発音していたように思う。あと、1音目だけが発音するパーカッションだと、1鍵盤で左手を弾くことができない。そんなわけで、偽物だろうがなんだろうが、使いやすさという点では、常時発音のパーカッションにも、意味はあると思う。
PuffOrganh
リバーブをかけて弾くと、けっこう大きなオルガンに聞こえる。メヌエットは、ピアノで弾いてもオルガンで弾いても、ちゃんと鳴るのがすばらしい。
TouchJazzOrganh
モジュレーションホイールをインサートしたアンプシミュレータ1のドライ/ウェットに割り当てている。録音の前半ではドライのみで、後半はほどほどに混ぜている。元々の音も、現実のオルガンを模したというより、FMならではのオルガンである。
VELORGAN1h
ベロシティで音色を変えられるオルガン、って、そんなもんねーだろ、と思うのだが、でも、そういうものを作れるのがシンセの良さであるわけだから。録音時にベロシティを効かせようと強打し、それでアフタータッチビブラートがかかってしまっているという、ちょっと困った結果となった。でも、思い出すと、大学時代に自分がDX7でオルガンを使う時は、アフタータッチでビブラートをぐいぐいかけていたように思う。
12-STRING1h
ここからは「ギター」カテゴリー。シンセのギター音色を弾く際には、サスティンペダルとビブラートが一つの鍵ではないかと思う。ギターは、一つの音を鳴らしたまま次の音を弾くことがある。ピッチは、弦を押さえる左手の指の圧力が変動して揺れることが多い。それをビブラートで表現するとよい。あと、キーボードに比べて、和音を広げ気味に弾くのもよい。ギターを弾けない私なので、いろいろなところに誤解があるかもしれないが。
GuitarBoxh
ギターの箱鳴りを意識した音だろう。ちょっと暗い録音になってしまった。
SPANISH3h
スパニッシュなギターと言われても、何も知らない…。
STRATO1h
ストラトキャスターをイメージした音だろう。音量と輝きがすごい。歪ませても面白いかも。
STRATO3h
ガシャガシャした感じがエレキギターらしい。
Titeguitarh
フレットノイズが楽しい。エフェクトなしだとらしくないけれども。
WireStringh
ベンドホイールを積極的に使ってみた。ギター音色に使うには、Claviaのスティックの方がいいかも。
EBassAh
ここからは「ベース」カテゴリー。ベースの音は、単体でよいかどうかの判断がつきにくい。他とうまくマッチするかどうか、想像できないからだ。だからこそ、「ベースはminimoog」みたいなことになるのかもしれない。FMのベースも、うまく使っているミュージシャンもいるらしいが。
OwlBassh
4パートが使われている。DX7 IIは2レイヤーが限界だったと思うが、ユニゾンとかをイメージしてこのようにコンバートしているのだろうか。
SHORTDEC1h
短いディケイを持つベース、ということだろう。低音が出てないわけじゃないんだよな。
SHORTDEC2h
弾いた時は音量に驚くが、録音してノーマライズするとそうでもない。ピークが出ているんだろう。
SkweekBassh
重さが気持ちよい。ただ、どういう曲とどういうフレーズだと合うのか、私にはよくわからない。
SmoothBassh
倍音がこのくらいの方が使いやすく思えるが、どんなもんだろうか。
StringBassh
アコースティックベースはPCMでいいものがたくさんあり、そこに割り込むほどのものかというとちょっと考えてしまう。遜色ない、という評価もできるけれど。
HallOrchAh
ここからは「ストリングス」カテゴリー。DX7らしい、とがった、ひっかかった感じのあるストリングス。これにはローパスフィルターをかけて少し絞ってあって、録音の最後にあるデクレッシェンド、クレッシェンドは、TONEのCUTOFFつまみをいじって作っている。絞っても、そんなにきれいになるわけじゃない。
HallOrchBh
先のパフォーマンスのバリエーション。同じような、違うような。
NewOrchesth
単音に使う方がいいのかも。独特の味がある。
OrchestraViolinsh
音のとがりが、生々しいと感じられる。こういう方向に持っていくべきか。
PizzReverbh
ピチカートに聞こえるかというと、ちょっと疑問。
Solinah
Solinaイメージならいいか、ということでエクスプレッションペダルで音量を変化させてみた。ソリーナは実物を弾いたことがないので、これが似ているのかどうかはわからない。
STREICHERh
これもストリングスマシンのイメージなのかなあ。
Violinsh
ビブラートのかかりはなかなかいい。ソロで使う方が適しているのかな。
WarmStgAh
このストリングスは、AとBがあり、その両方を使ったパフォーマンスがある。それらに続く。
WarmStgBh
管楽器っぽい立ち上がりが混ざっている。
WarmStringSectionh
上記2つをレイヤーしたパフォーマンス。弾いていると音量が大きいのが感じられて迫力があるのだが、録音してノーマライズすると、そうは感じられない。当たり前だが。
ANALOG1h
ここからは「金管(ブラス)」カテゴリー。やっぱり、アナログシンセに比べると、冷たい感じがする。アフタータッチビブラートがきれいにかかるのは好き。
ANLGSYN1h
前の音によく似ているが、中低域にパワーがあり、その分倍音が目立たなくなっている。
BRASS2h
似たような音を3つ聴くと、飽きますな。
FOOTPOLY1h
と思ったらもう一つ。ふぅ。
HardTrumpsh
DX7のトランペットが好きなのは、アタックのワウのかかり方が、アナログシンセよりも、本物らしいからだと思う。ビブラートがきれいにかかるのもよい。
MultiBrassEnsembleh
ソフトにまとめているのはよいと思うが、さて、使いどころはどこだろうか。
Mute-Trp.2h
実物に似ているかどうかはともかく、好き。
RESONBRSh
レゾナンスがかかったブラス、かなあ。そうは聞こえない。
SilvaTrmpth
いい音だ。好き。
SynthBrassEnsembleh
アフタータッチビブラートがきれいにかかること、リバーブの質がいいこと、そうした点は好き。冷たい感じは、しょうがないんだよなー。
TrumpetAh
エフェクトを深くすれば、いい感じになるかも。
TrumpetBh
一つ前の音色のバリエーションであろうか。レイヤーしてステレオに振ると面白いかも。
Trumpets1h
小学校のトランペット鼓笛隊ではトランペットを吹かせてもらえず、シンバル、大太鼓、バリトンであった。中学に入って吹奏楽部でトランペットを吹く夢がかなった。自分の原点の一つであると思う。
Trumpets3h
本物のトランペットを吹く場合は、正直、ビブラートはかけたくなくてもかかってしまうので、かけないでまっすぐ、という練習をしていたように思う。シンセだと、ビブラートかけないと棒のようになってしまう。
Tubah
中学生の時は、昼休みに音楽室に集まり、トランペット、トロンボーン、チューバ、小太鼓といった編成でマーチを演奏していた。楽しかった。チューバのオンチャン、トロンボーンのコバ、ユーホのマコトクン、みんな元気でいるかなあ。
HARMON.BCh
ここからは「木管(ウッドウインド/パイプ)」カテゴリー。アフタータッチでビブラートが、モジュレーションホイールでトレモロ(周期的な音量変化)がかかるようにしている。もともとはブレスコントローラー(BC)を使うことを想定していたのだろうが、残念ながらMONTAGEにブレスコントローラー端子はない。復活させてほしいなあ。
Harmonicah
モジュレーションホイールでリバーブを付加できるようにした。録音の後半でそれを使っている。
PanFlooth
パンフルートというと、1989年に買ったKORG T2EX、1992年に買ったSC-33を思い出す。FMの音は、それに比べると印象が薄い。
Piccoloh
高い音域を使わないとこういう感じにならない。でも、中低域のぽわーっとした感じも、別のことに使えるかもしれない。
Sax2h
PCM音源が出た後で聞くと、これが本物っぽいとは言い難い。FMのノイズを堪能できる一品。
LeadaPickah
ここからは「シンセリード」カテゴリー。初代DX7はポリ/モノ切り替えがグローバルだったので、モノを使うことはあまりなかった。今回はそれを思い出して、シンセリードもポリで作っている。でも、今は個別に設定してるんだから、モノもいいよね。
SYNLEAD1h
初期のPCMシンセ、私の場合でいうとT2EXとかTG77はビブラートやピッチベンドのかかりが悪く、その点ではDX7の方がいいなあ、と思っていた。ただ、リード音も、アナログシンセに比べると、ヤマハのFM音源は少し温度が低い気はする。
WhapSynthh
FMらしい音ではなかろうか。歯切れがいい。
LadyVoxh
ここからは「パッド/人声」カテゴリー。演奏のせいか、オルガンぽく聞こえる。
MVOICE2h
「M」は「Male(男性)」の略だろうか。ちょっとメロトロン風。
PitchaPadh
アタックの歯切れの良さがヤマハのFM音源らしい。微妙に、他のシンセで出しにくい音のように思うが、どうだろうか。
SpaceVoxh
エフェクトは自分で設定しなければならず、多くのプログラムでは「REV-X Hall」の「Small Hall」プリセットを使っている。この音色は珍しくディレイをかけているので、それに合わせて弾いてみた。
WhisperAh
やさしい、いいパッドである。次の「WhisperBh」とステレオで組み合わせたパフォーマンスが元々あったのかもしれない。
WhisperBh
前の「WhisperAh」と微妙に異なる。内部は大きく違うかもしれない。
YesBunkh
これは「シンセコンプ」カテゴリー。ディストーションギターに対抗するのによさそう。
HAMMERh
ここからは「クロマチックパーカッション」カテゴリー。リリース時にプチプチノイズが入るが、それもまた味。
Handrumh
ヤマハのFM音源は打楽器音を作るのに適する。いい感じ。
MALLET1h
金属と木材の中間に当たる物質を叩いているような、不思議な音。
MALLET2h
サスティンペダルを踏んでエレピ風に弾いてみた。
PianoBells2h
大きめのオルゴールをイメージして弾いた。現実にない音だと思うが、それもまたシンセの醍醐味か。
SteelCansh
スティールパン風味。なかなかうまく弾けない。
StereoVibraphoneh
いい具合に模写しているが、本物と微妙に違うのが、味がある。
Vibraphoneh
エレピのバリエーションとして使えそう。トレモロも効くかも。
MilkyWaysh
ここからは「ミュージカルエフェクト」カテゴリー。Weather Reportのデビューアルバムの1曲目「Milky Way」を思い出させる。あれはインパクトあったなあ。きれいだった。ジャズはこんなことをしてもいいんだ、と思った。
PhaserWhaserh
DX7にもDX7 IIにもエフェクターは搭載されていなかった。エフェクターが入ったのはV50からだ。そんなわけで、FM音源でフェイザーの真似をしたのだろう。努力は買う。こちらはステレオ。次はモノ。
Phaserh
エンベロープジェネレータが6個あることを活かした音と言えよう。
HarpStrumh
ここからは「エスニック」カテゴリー。ハープの音というのはどう弾いたものかよくわからない。録音の後半ではリバーブをかけている。ヤマハはいいリバーブを持ってるなあ。
Plukh
カテゴリーをギターとするかエスニックとするか、私の印象としてはエスニックである。ベロシティに大きく反応するのが素敵。

サウンド:DX7用音色ROMカートリッジ「VRC-106 SYNTHESIZER GROUP」から移植

DX7用の音色ROMカートリッジ「VRC-106 SYNTHESIZER GROUP」をMONTAGE用にコンバートし、その中で使いたいと思った43音色に、MONTAGE上でエフェクトをかけるなどの調整を施したもの。DX7でアナログポリシンセや出始めたばかりのPCMシンセに近付きたいというプログラマの気持ちが感じられる。プリセット音色とは一味違う、魅力的なDX FM音色群である。

サウンドコメント
SYN.STR.1h
当時は、PCMシンセというものが、アマチュアレベルに手の届くものではなかった。このストリングスはアナログシンセと違い、リリース時に本物っぽい響きがあると感動したものだ。この音色では、キャリアに固定の低い周波数を使ってうねりを出すというFM音源ならではのテクニックが使われている。
SYN.STR.2h
アタックが強い。モジュレーションホイールでディレイを付加できるようにした。ビブラートはアフタータッチでかけている。ビブラートがきれいにかかるのが嬉しい。1989年にKORG T2を買った時は、ビブラートがきれいにかからないこと、ポルタメントがないこと、オシレータを2個使うと同時発音数が8音しかないことにがっかりした。DX7でできたことができないんだなー、と思った。DX7を手離してはいなかったが、両方持っていくのはけっこう大変であった。車なかったし。
SYN.STR.3h
先ほどの「2」と同様だが、少しアタックが控えめか。
SYN.STR.4h
こういう優しい音は好きだ。ただ、あたたかみという点でいくと、FM音源は、他の方式に比べて弱いかなあ。
SYN.STR.5h
上の「4」と同様の感想。
SYN.STR.6h
これはシンセリードかシンセブラスだよねー。ビブラートとピッチベンドがなめらかでうれしい。
SYN.STR.7h
モジュレーションホイールでリバーブセンドを調整するようにした。今改めて聞くと、FM音源ならではの素敵な音と思う。微妙に変化するのがよい。
SYN.STR.8h
これもシンセリード的。ここからしばらくは、モジュレーションホイールをビブラートにアサインしている。アフタータッチでかけるビブラートと、モジュレーションホイールでかけるビブラートだと、音の始めにかけられるかどうかが違う。こういう音色だと、音の始めに強くかけたいこともあるだろう。
SYN.STR.9h
ちょっとアナログポリシンセっぽいかも。
SYN.STR.10h
これもアナログポリシンセっぽい。好き。
SYN.STR.11h
キレのよい、ほどよい重さのシンセ音。
SYN.STR.12h
ノイズが魅力。低い音域を使って録音してみた。音域でノイズの印象が違うので、使う際には調整が必要かも。
SYN.STR.13h
デジタルのシンセ、を感じさせる。高価なPCMシンセを真似たのかも。
SYN.BRA.1h
アナログポリシンセに近付けようとがんばった、のであろう。いい感じ。
SYN.BRA.2h
アナログっぽくはないが、力のあるリードトーンである。
SYN.BRA.3h
低音はベースとしても使えそう。ほどよい重みがある。
SYN.BRA.4h
ちょっぴりダブルリードに近い、美しいリードトーン。
SYN.BRA.7h
DX7のエンベロープジェネレータはクレッシェンドができ、これはそれまでのアナログシンセでは難しいことだった。また、そのエンベロープジェネレータが、6個のオペレータそれぞれと、ピッチ専用で、計7個あった。それを活用した、スイープするブラス。ビブラートは、ディレイビブラートが設定されていたのをそのまま生かしている。
SYN.BRA.10h
インテンポでちゃんと弾けないのだから、恥ずかしい。
SYN.BRA.12h
ファンファーレっぽい音を聴くと、Keith Emersonを思い出す。
SYN.LEAD1h
鋸歯状波に似ているような気もするけどでもやっぱり、DX FMのリードである。
SYN.LEAD2h
パルスに似ているが、クリック感とかが、DX FMである。
SYN.LEAD6h
先の「2」よりアタックがふわっとした感じになっていて気持ちよい。でも、もっとふわふわしたのが好きである。このごろは。
SYN.BASS7h
FM音源のベースはボトムが足りないと思ってきたが、コンプレッションすればカバーできるのかも。今回は、マスターエフェクトで「VCM Compressor 376」をかけてみている。
SYN.BASS8h
DX FMっぽいベース。AVアンプ経由で聞くと低音が少なめに感じるってことは、パワードモニター+サブウーハーの方の設定が、低音が出すぎなのかもしれない。難しい。
SYN.BASS9h
DX7を買った時は、チョッパーベースが出る!と感激したものであった。今聞くと似てないけど。
SYN.VOX1h
FM音源ではモジュレータで信号を送り込むことで倍音を構成する。もともと含まれている倍音をローパスフィルターでカットしたり、レゾナンスで強調したりするのとは、倍音の変化が違う。通常それはエレピのアタック部分とかに適用されるんだけど、ここでは、スローに盛り上がることによって、FMっぽいスイープを作っている。
SYN.VOX2h
DX7が出るまでは、アマチュアが買えるアナログポリシンセはほぼ、1オシレータ、1フィルター、1アンプであった。この音色では、オペレータ4個をキャリアにして、4系列にしている。こういうのは、それまではなかなかできなかったんだよー。
SYN.VOX3h
展覧会の絵の楽譜を買って、最初の「プロムナード」を練習してみたのだが、私には無理っぽい(涙)。
SYN.VOX4h
人の声の音色は、冨田勲を思い出させる。
SYN.VOX6h
DXらしい音。アフタータッチでビブラートをかけている。MONTAGEの場合、アフタータッチのビブラートは、デプスだけでなく、カーブの設定ができる。素晴らしい。
SYN.ORG.1h
ディケイがかかるので、オルガンの気がしない。でも、やさしくて好き。
SYN.ORG.2h
ハモンドではないコンボオルガンのイメージ。モジュレーションホイールでビブラートを調整できるようにした。
SYN.ORG.3h
空気の漏れる音がチャーミング。足踏みオルガンは、空気音よりペダルのキコキコ音の方が気になった。それがないと、蒸気オルガンのように聞こえる。蒸気オルガンを弾いた経験はないけれど。
SYN.ORG.4h
この録音では使っていないが、アサイナブルスイッチ1で、インサートしたロータリースピーカーエフェクトのスロー/ファストを切り替えられるようにしてみた。軽めにかけているので、あまり違いがわからない。パラメータを追い込むところまではしていない。
SYN.MARIMh
モジュレーションホイールでリバーブセンドを調整できるようにした。この録音では浅めだが、深くするとまた違った味わいがある。
SYN.CLAVIh
減衰音じゃなくて持続音になっているが、弾き方によってはクラビネットっぽく聞こえる。Good。
SYN.FLUTEh
フルートにこんなクリックはないだろう、と思うのだけれど、高校時代に弾いていたエレクトーンD-30で白いフルートトーンのレバーと緑のパーカッションレバーを使うとこういう音がしたような気もする。ビブラートとピッチベンドがきれいにかかってうれしい。
SYN.CHIMh
チャイムの後の「ふにゃーっ」という盛り上がりが楽しい。
SYN.SITARh
昔、インドから来たシタールの奏者の人に「一緒にやらないか」と言われたことがある。会社員生活で限界だったこともありお断りしたが、その人のライブに行ってあいさつをした。本物にはおよびもつかないが、通奏低音風に弾いてみた。
SYN.GLOC1h
この音を派手にチューンしたものをよく使っていた。その音色は、今後移植する予定。
SYN.GLOC2h
DX FM、いいですなぁ。
SYN.GLOC3h
オルゴールみたい。すばらしい。

サウンド:MONTAGE V2.0(2.00.3)

2018年2月に新バージョン「V2.0」(2.00.3)が出たので入れた。「Best of 2.00」にリストアップされている16音色を紹介する。

サウンドコメント
CFX + FM EP 2
「CFX + FM EP」に比べて、パート数は減ったが、弾いた感じに差はあまりない。エクスプレッションペダル2でスーパーノブを動かし、FMの音量を変化させた。
CFX & Pad & Sub
とてもきれい。Proteus 2000のプリセット「And Voice」を思い出す。ヤマハさんも、かなりの線に来た。最後にペダルで音を変化させた。
Go-Come Organ
うねって歪むオルガン。面白いけど、使えるかというと、うーむ。
The Prepared Piano
プリペアードピアノが実際どんなものであるかは、よく知らない。ペダルを踏むとアンピッチドになって面白い。
FM + What Else X
録音したものを聞き返して、「おお、いいじゃん」と思う。
Dynamic Pad
スーパーノブが自動的に振り回されていて、そのビートに合わせて弾かないとおかしい。こういうのも、いつか使ってみたい。
Electrone
音色名を最初に見た時はエレクトーンかと思ったが、そうではなかった。
Hypnosis
「Hypnosis」は「催眠」という意味だそうな。
FM Bouncer FX
弾くのが難しい。
One&Only massive
弾きながらペダル2を踏み込んでみた。
Monster Lead
ペダル2を踏み込むとどこかのピッチが上がり、最大に踏むと1オクターブ上昇する。楽しい。
Whip Motion
シュワシュワ感がMONTAGEらしい。
Chill Me
シーン1にはビートがなく、シーン2にビートが仕込んである。
Creation
モーションシーケンスでディレイのモジュレーションがかかる。シーン1がビートなし、シーン2がビートあり。モーションシーケンスをオフにしてペダル2でかけるのも面白い。
my saw
なかなかうまく弾けない。難しい。
Dub Me...SK
ライブでこういう音色を使いこなす人もいるんでしょうねぇ。今では。

サウンド:MOTIF XF Performances for MONTAGE

2018年2月に新バージョン「V2.0」(2.00.3)が出たのと同時に、「MOTIF XF Performances for MONTAGE」が公開された。英国ヤマハのダウンロードページには、まだあるようだ(2019/1/19確認)。そのうち5個を録音してみた。弾くのが難しい…。

サウンドコメント
Piano Electro
ムーディである。弾くフレーズが不適切なのか不協和音が混ざっている…。
Indian Xperience
インド風かというと、あまりそうは思わないが、きれいである。
Clavi 70's 1
縦線が合っていないクラビは、私が下手だからである(涙)。
EP Ballad
上の写真にこのパフォーマンスはない。アルファベット順(Name順)でソートして探していただくとよいだろう。こういうのを聞くと、自分で打ち込みする気力がなくなる。
Desert Drive(4 ARP)
MONTAGE V2.0の一つのウリは、MOTIF XFなどの「パフォーマンス」(複数の音色を組み合わせたもの)を読み込めるようになったことだ。それに意味があるかというと、私はMOTIF XFなどを持っているわけではないので、あまりありがたみがないのだが、それでも、こういうデータをもらえると、得した気がする。使うかどうかはともかくとして、お得感がある。

サウンド:K-Sounds EPIC GRAND - MONTAGE

2018年7月に、Yamaha MusicSoftの20%オフセールで、前から気になっていたK-Sounds「EPIC GRAND -MONTAGE」を購入した。124ドル99セントが、99ドル99セントになった。EPIC GRANDは元ネタがヤマハのC7であるという点が、「Cかよ」という気もするが、でも一方で、某スタジオでC7を何度も弾いてけっこう気に入っていた記憶もあるため、親しめるかも、という気持ちもあった。セールなら買う、ということで決意した。ラージ(503MB)とスモール(124MB)がある。ラージをロードして、いくつか録音したものを、下に示す。

サウンドコメント
1 Major Epic
30個ある音色(パフォーマンス)のうち、最初に置かれているのがこれ。フルコンの重みはないが、セミコンのほどよい軽さが感じられて好ましい。ペダルを踏んだ時の共振も、ほどよいレベルに思える。ヘッドホンよりスピーカーの方がよく感じられる。
9 EG Just the Piano
エンハンスド・サスティンやEQのトリートメントをしておらず、あなたが音を作る場合のベースとしてください、というピアノ音色。飾り気のない感じがまたよい。
21 EG + Tine EP
エレピレイヤー。すごくいいとは言わないが、使える音色に仕上がっている。
23 EG & DX7 AF’s
FMエレピのレイヤー。これも上と同様で、すごくいいとは言わないが、ちょっといじるだけで欲しいものになりそうである。
24 EG & Strings SK
ストリングスレイヤー。スーパーノブでストリングスの音量を加減できる。うちではペダル2でスーパーノブを回せるようにしていて、最後に踏み込んでみた。
29 KS Stereo FM EP
FMエレピ。アコピのサンプルは使っていない。センスがよい。さすが。
30 Epic Pad
サンプル波形にFMのノイズ(?)を加えて作ったパッド。これまたセンスがよい。

サウンド:1980年代にDX7で弾いていた音色

1983年発売のヤマハDX7を1984年に購入し、1989年にコルグT2を購入するまでは、DX7が私のメイン・キーボードであった。当時のDX7の音は、Unisynのデータなどとして、ある程度は保持しており、それをMONTAGEに移植したのが以下である。とにかくもう、とんでもなく懐かしい。

サウンドコメント
ANAPOWERh
アナログポリフォニックシンセを買えなかったので、それに対する憧れがあり、それをまぎらわすために用意した音色の一つがこれだろう。今改めて聞くと、アナログっぽくないが。
BRPR5_2h
プロフェット風、と言われればそういう気がしないこともない。
CELLOS2Ah
PCMのセロに比べると偽物っぽいが、でも、それなりにセロという楽器の音の一端を捉えているように思う。
CHORDBASS3h
右手でベース、左手でコードを弾けるように、オペレータスプリット(レベルスケーリングを使ったオペレータを上下に振り分ける手法)で作った音色。ギター奏者と枯葉をセッションした時に使ったような記憶がある。
DXSOUND1Ah
何の音かというとDXの音だとしか形容しようがないような音。使いどころがないのだが、でも、弾いていてけっこう気持ちのよい音ではある。
ELECBASSh
アナログシンセからここにたどりついた時は、おお、チョッパーができる、と感激したものだ。
EPIANO2Ah
付属カートリッジにあったエレピ2に、多少手を入れたものだと記憶しているが、定かではない。DX7、偉大である。エレピとして使えるシンセって、これが初だったと思うんだよね。
HBASSh
自分で作ったベースだと思うが、元ネタがあったのかどうか、記憶があいまいである。
HISTRINGSh
雑誌か何かに掲載されていたのを、自分で入力して、そのままにはしなかったもの、だろうと思う。バンドで頻繁に使った。
HORGAN1h
正弦波のフィートを設定して重ねただけのオルガン。イチから作ったと思う。今回レスリーに通してしまったので、昔の無骨な風合いは失われている。
HRMNCA2h
付属カートリッジにあったハーモニカを、ブレスコントロールできるように改造したもの。今回、ブレスコントロールはできないので、「BC」とネーミングされていたのを削除した。なんというか、よくできた音色だ。作った人に敬意を表する。
LYRICONh
リリコンを模した音。今回、ポルタメントを効かせようとして、レガートで弾き過ぎた。反省。
OUTSIDER2h
坂江務作曲の「Outsider」という曲を演奏するために作った音色。オペレータスプリットである。右手のストリングスは冷たく切れそうな音。リリースした後に倍音がすぱっとなくなって長く伸びる、というのは、DXではけっこうよくやった細工である。モジュレータのリリースタイムを短くし、キャリアのリリースタイムを長くすればできる。
SG1Ah
シンセグロッケンの音色を持ってきて、それを派手にチューンしたもの。個人的には、DX7を代表する音色の一つであると思う。
SILKROADh
私は、昔も今もシルクロードのテーマを思い浮かべて音色を作っているということですな。
STRING1h
DX7の金属系ストリングスの一つ。冷たいと評されることが多い音色だが、でも、これはこれでオリジナリティがあるようにも思う。
STRNO1h
録音したものを聞くといまひとつであるが、弾くと大変に気持ちのいいストリングス。けっこう多用したように思う。
STRNO2h
上の1番のバリエーション。
SYNBASS9Ah
今これを使うかというと疑問だけどねぇ。
SYNBRASSCh
どこがブラスだ、という気もするが、捨てがたい。
SYNORG4h
オルガンではなく、リードとして使ったような記憶がある。坂江務作曲「Eccentric Zone」のメロは、この音色で弾いたのではなかろうか。
SYNSTR1Ah
キャリアを低い周波数にしてうねりを出したストリングス。あまりにノイジーだったので、モジュレータのレベルを調整した。
USPIANOh
米国で買った音色本から移植し、でも、そのままには打ち込まなかったもの。ピアノとしてお気に入りで、DX7の1番ピアノとして愛用してきた。
VIOLINSAh
エンベロープをいじれば、もっとよくなるのでは?と思う。
VOICE2Ah
T2を買った理由の一つは、PCMの人声が欲しかったからである。DXだと、こういう感じなんだよなぁ。
VOICE3Ah
アタックに混ざっているパーカッシブな音は、人の声とは遠く離れている。でも、この音けっこう使ったかも。

サウンド:MONTAGE V2.50.2

2018年7月31日にリリースされたMONTAGEバージョン2.50.2を入れた。「MOTIF XF」というバンクにMOTIF XFのパフォーマンス512個が格納されている。これによって、上の「MOTIF XF Performances for MONTAGE」を別途ロードする必要がなくなった、のかもしれない。一つだけ録音してみた。

サウンドコメント
Elfin Dreams
左手でC2を押さえ、右手で単音のメロディを弾き、左手を少し上げていった。スーパーノブをペダルで動かしたり、シーンボタンを変えたり、といった操作をしてみた。録音後の波形を見ると粒立ちがよく、その分レベルが上がらない。リミッターで上げてみた。

サウンド:Yamaha MONTAGE用VRC-101/102/103データ

ヤマハは2018年8月10日から9月30日まで、「MONTAGE LEGENDARY SYNTHライブラリープレゼント!」を開催していた。Montageのユーザーは、自分のMontageの製造番号などを打ち込み、けっこう詳細なアンケートに答えると、DX7とCS-80のデータをもらえる。CS-80のデータは、Yamaha MusicSoftで無料でダウンロードできる「CS80 - MONTAGE」と同じもののようで、KAproの制作である。DX7の方は、DX7用ROMカートリッジVRC-101「KEYBOARD, PLUCKED & TUNED PERCUSSION GROUP」、VRC-102「WIND INSTRUMENT GROUP」、VRC-103「SUSTAIN GROUP(STRINGS, ORGSN & VOICE, etc…)」の音色(64音色×3カートリッジで計192音色)をMONTAGEに移植したものだ。1984年に私がDX7を買った時は、どのカートリッジを買うか悩んだ末に、VRC-106「SYNTH GROUP」を選んだ覚えがある。1個1万円くらいしたから、大人買いはとてもできなかった。今になって、当時欲しかったものが手に入るのがうれしい。いくつかを録音してみた。

サウンドコメント
E.GUITAR 1
けっこういろいろとエフェクトがかかっていて、移植した人の労苦(楽しみかもしれんが)がしのばれる。
E.BASS 1
PCM音源がなかったころであるから、ほんと、がんばって作ってるし、それが受け入れられた時代である。
PIANO-CP
当時は某大学のフォークソングクラブの部室にはCP80があり、その上にDX7を置いて弾いていた。ちなみに、右手にはRhodesがあった。そんなわけでDX7でCPの音を出そうとがんばることはあまりなかった。私以外の人も、似たりよったりではなかったろうか。演奏がよれよれなのはご容赦を。何年たっても弾けるようにならない。
E.PIANO 4
DXエレピがハイファイになって戻ってきた。感無量。
RECORDER
モジュレーションホイールでビブラートがかかるが、アフタータッチではかからない。それをしたければ編集しないといけない。この後の音色もそうである。
BRASS EN.1
堂々としたFMブラスである。ベロシティへの追随は、減算型とは一味違う。
VIOLIN 1
バイオリンに聞こえるような、聞こえないような。
STRINGS 5
FMストリングスには、FMストリングスの味がある。
F. VOICE 3
VRC-103は人声のプログラムがけっこう入っている。ニーズがあったということだろう。

サウンド:SawとPulseの音作り

購入してから長い間、ライブセットを作らずに来た。ある程度ユーザー音色がたまってからにしようと思っていたが、なかなか移植が思うように進まなかったからだ。ついにライブセットを作り始め、これまで持っていた音に少し手を加えたり、AWM音源のSaw(鋸歯状波)とPulse(矩形波)のリードを作ったり、Sawのストリングスを作ったりした。MONTAGEのシンセ部はサンプリング周波数が44.1kHzであると思われ、抜けが良いとは言えないが、それでも、シンプルなシンセ音色が使えないということはない。

サウンドコメント
FullTinesh
DX7IIのプリセットから拾ってきて改造したもの。MONTAGEの自分のライブセットの一番最初の音色はこれにした。ヤマハFM万歳。モジュレーションホイールを上げるとコーラスがかかるようにして、少し上げて弾いている。
CFXSingleGrand1H
「MONTAGE EXPANDED」から拾ってきて、ダンパーレゾナンスを減らすなどの改造を加えたもの。MONTAGEが標準装備しているCFXの波形を使ったものだが、標準装備のパフォーマンスが複数パートで構成されているのに対し、こちらは1パートである。また、若干、音量が大きくなるように作られている。その分、ダイナミックレンジは狭いわけだが。このシリーズは1、2、3とあり、微妙に違う。アコピページの冒頭はその3つにした。
Saw1
「Init」カテゴリにある「Init Normal(AWM2)」を呼び出し、「OB Saw」を一つ出した音色。アフタータッチでビブラートがかかるようにして、ディレイとリバーブをセンドリターンで加えている。カットオフ、レゾナンスなどは、つまみでも変えられるので、それも使っている。
Pulse1
先の「Saw1」の波形を「P50-1」に変更し、若干調整したもの。かなり歪みやすく、録音時に後段で歪んだようだ。今回は、録音のルーティングをこれまでとは変えていて、まだ慣れない。
SawStrings
OB Sawを2エレメント用意してデチューンをかけ、左右に少し振ってストリングスっぽくしたもの。オシレータを左右に振れる、というのが、いかにもデジタルシンセである。モジュレーションホイールを上げるとバリエーションセンドが上がってコーラスがかかるようにしていて、これが強力。いいエフェクト持ってるなぁ。

MONTAGEで読み込めるファイル

上の「サウンド:DX7のプリセットから移植」「サウンド:DX7 IIのプリセットから移植」「サウンド:DX7用音色ROMカートリッジ『VRC-106 SYNTHESIZER GROUP』から移植」「サウンド:1980年代にDX7で弾いていた音色」で紹介したパフォーマンスを含む(と思われる)ユーザーファイル(X7U)とライブラリファイル(X7L)。

上の「サウンド:SawとPulseの音作り」で紹介したパフォーマンスを含む(と思われる)ユーザーファイル(X7U)とライブラリファイル(X7L)。


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