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Yamaha CS-15

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「CS-15」は、ヤマハが(たぶん)1977年に発売したアナログ・モノフォニック・シンセサイザーで、当時の定価(現在の言葉では希望小売価格)は10万5000円であった(当時は消費税がなかった)。2VCO、2VCF、2VCA、2EG、1LFOという構成である。下位機種のCS-5、CS-10はオシレータが1個だったので、CS-15の方が音作りの幅が広かった。上位機種には同様の構成のCS-30、CS-30Lがあったが、それらよりもCS-15の方が安かった。ライバル機種はローランドSH-2、コルグMS-20であったが、2VCF、2VGAを持っていたのはCS-15の強みであったと言える。当時中学の同級生がCS-15を使っていて、1系統を使って効果音を出し、もう1系統を使って楽音を奏でていたのが大変に印象的であった。一方で、フィルターは「切れが悪い」と評されることが12dB/オクターブであり、レゾナンスを回し切って発振させることはできなかった。ディレイビブラートがないのも弱点と言える。

CS-15にはCV/ゲート(ヤマハの用語ではトリガー)入力があるが、CVはHz/Vで、当時はコルグとヤマハがHz/V、他はおおむねOct/Vであった。Hz/Vは回路が単純で安定性が優れていたが、高音域になると電圧が跳ね上がる(もしくは低音域で電圧が低くなり過ぎる)ため、音域が狭くなるのが欠点である。Hz/Vを供給できるMIDI-CV/ゲートコンバーターとしては英Kenton Electronicsのものが有名であり、私も3製品(Pro Solo、Pro Solo mkII、Pro 2000)を所有している。ただ、Pro SoloをCS-15などで試した限りでは、わりと正確なオクターブを供給できる範囲は3オクターブ程度に限られ、調整も面倒である。

MIDI-CV/ゲートコンバーターとして、コルグのMS-20 Kitを使ってみたところ、これが意外と良かった。

無調整で、かなり広い音域で正確に弾ける。下に録音したものがあるので、ご参照いただきたい。一方で、KentonにはLFOでCVを揺らす機能があり、それをコントロールチェンジやアフタータッチで制御することもできるのだが、MS-20 Kitを普通に使うとそれはできない。どちらを使うか、悩ましいところである。

CS-15のCV入力は、VCO1とVCO2が別になっている。ゲート入力はEG1とEG2が別になっている。CV/ゲートを2セット用意すれば、デュオフォニック演奏も可能である。以前、私はヤマハCS-40Mから2系統のCV/ゲートを出してCS-15を鳴らしたことがある。ただ、今の使い方では、1系統のCV/ゲートで制御できる方が望ましく、Yケーブル(分岐ケーブル)を使えばそれが可能である。下の写真はその接続の様子だ。

参考リンク

サウンド

サウンドコメント
Triangle HPF Lead
CS-15が面白いことの一つは、VCO、VCF、VCAのすべてに「LFO MOD」のつまみがあることだ。VCOのビブラートだけでなく、VCFのグロウル、VCAのトレモロを個別に調整できる。ちょっとユニークな揺れを作れる。
CS-15 played by MS-20 Kit CV/GATE
KORG MS-20 KitはMIDIのノート信号を受けてそれをHz/VのCV/ゲートに変換する機能がある。これを使うと、何ら設定をせずに広い音域で正確に弾ける。すごい。惜しいのは、ピッチベンドもモジュレーションもポルタメントもできないことだ。それが欲しければKentonか。どちらを使うか悩ましい。
Triangle Solo
CS-15の音には、「エレクトーン」的な美しさとジェントルさがあると思う。当時は「エレクトーンみたい」というのは悪口でしかなかったが、アナログのエレクトーンを見かけることがない2019年においては、珍しく、また、きれいな音と言える。

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