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Yamaha MOTIF-RACK ES

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「MOTIF-RACK ES」は、ヤマハが2004年12月に発売した音源モジュール。希望小売価格13万5000円(税抜)。1Uのスリムなきょう体に、MOTIF ES(2003年8月発売)と同等のPCM音源(ヤマハの呼び方ではAWM音源)が収められている。プラグインボード「PLGシリーズ」を装着できるスロットを2基装備し、AN音源(ヤマハのアナログモデリング音源)ボード「PLG150-AN」、DX7と同等のFM音源ボード「PLG150-DX」、VL音源(管楽器などのモデリング音源)ボード「PLG150-VL」、ピアノ音源ボード「PLG150-PF」「PLG150-AP」などを装着できる。デジタル出力(S/PDIF光、同軸)があるので、プラグインボードの音をデジタル出力できる。1Uなので液晶画面は小さいが、内蔵のAWM音源については、フルにエディット可能。

前機種である「MOTIF-RACK」は2003年1月発売で、希望小売価格は12万5000円(税抜)。MOTIF-RACKはMOTIF互換だが、MOTIFが2001年8月発売であったのに比べるとかなり出てくるのが遅く、ポリ数も、MOTIFが64であったのに、MOTIF-RACKは128だし、エフェクトも更新されている。一方で、MOTIF-RACKとMOTIF-RACK ESの発売時期はあまり差がない。MOTIF-RACKとMOTIF-RACK ESはきょう体デザインを始めとして共通する部分が多いが、違う点もある。細かい点だが、MOTIF-RACK ESには「パフォーマンスモード」とプラグインデータのオートロード機能がある。これらはMOTIF-RACKにはない。

MOTIF-RACK ESの後継機種は2008年6月発売の「MOTIF-RACK XS」(希望小売価格16万円、税抜)だ。MOTIF-RACK XSは長い間販売されていたが、2019年1月に確認したところ、「生産完了品」と表示されるようになった。MOTIF-RACK XSはプラグインボードのスロットを持たず、本体では音色のフルエディットができない。一方で、MOTIF XS互換であるため、ボイスのエレメント数が8に増えており(以前は4)、ボイスにより複雑な音を作り込めるようになっている。また、4つのロータリーエンコーダーで音色のパラメータ調整ができるようになっており、ちょっと変更したい、という時には、MOTIF-RACKやMOTIF-RACK ESよりも操作性がよい。

1980年代の日本では、DTM(DeskTop Music)音源が一世を風靡した。その代表機種はローランドのSound Canvas(SCシリーズ)であり、ライバルはヤマハのMUシリーズであった。その後、SCとMUは消滅し、同様に使える音源モジュールとしてはローランドのINTEGRA-7とヤマハのMOTIF-RACK XSが最後に残った製品であった。今後は、MONTAGEなどのキーボードタイプを使わざるを得ないのだろうか。それとも、MONTAGEのモジュール版が製品化されるのだろうか。

参考リンク

サウンド:目次

サウンド:内蔵AWM音源

AWM(Advanced Wame Memory)音源は、ヤマハのPCM音源の呼称。1989年発売の「SY77」以降は「AWM2」と呼ぶようになった。MOTIF-RACK ESには、MOTIF ESと同等の175MB(16ビットリニア換算)ウェーブROMが搭載されている。ここでは、ほんの一部ではあるが、AWM音源の音を紹介する。

サウンドコメント
Ap:Piano01
MOTIF-RACK ESの1番ピアノ「Full Grand」を持ってきて、エフェクトをカットしたもの。木の音が強い、風変わりなピアノだが、私はけっこう好きで、スタンバイさせておけると嬉しい。
Ap:FullGrand
MOTIF ESの1番ピアノ。パフォーマンスに仕込んで弾いている。ヤマハのピアノサンプルの中では、これは目立って木の音がすると思う。以前店頭でいくつか弾き比べをした中ではMOTIF ES8が一番しっくりくると思った。それはこの音である。
Ap:DreamBlld
MOTIF-RACK ESのパフォーマンスに入っていた音色の一つ(以下Pd:FatAnalogまで同様)。アコピとエレピとストリングスのレイヤー。サスティンペダルを長い間踏むと音がにごり過ぎる。難しい。
Kb:LoveAffair
これはエレピとストリングス。上の音色とあまり変わらないので、消すかもしれない。
Co:Dynasty
オーケストラのイメージだろう。正直いうと、音をたくさん重ねた音というのは、あまり好きではない。キャラクターがぼやけるように思うからだ。
Pd:LenaH
ソリーナのストリングスアンサンブルをイメージしたものだろう。オクターブを変えたりしているので名前に「H」を付けた。
Pd:FatAnalog
アナログシンセっぽくはない気がするが、好き。
USR3:74 Pd:Silence
ソフトに静かにスイープするパッド。こういうの、好きなんだよなあ。

サウンド:PLG150-ANを追加

MOTIF-RACK ESにPLG150-ANを追加し、PLG150-ANの音を使った例を紹介する。下の写真は、MOTIF-RACK ESにPLG150-ANを装着し、プラグインボードのデータを自動で読み込む設定にし、起動した時の様子。右下に「AN」アイコンが表示される。このロード時間はけっこう長い。

PLG150-ANの音色をゼロからエディットするには、「AN1xEdit」というソフトを使うとよい。

AN1xEditのバージョン1.1には「PLG150AN Mode」という設定があり、これを選ぶと、PLG150-ANで無効なつまみが、無効らしく表示される。

それでは、音をどうぞ。これらは、MOTIF-RACK ESのパフォーマンスを作って弾いたものだ。最初の2個は、AN1xEditで作って、それをユーザーボイスとして保存し、パフォーマンスでそれを呼び出した。3番目以降は、プリセット音色を元にしているが、アフタータッチでビブラートをかけたかったため、設定を変えてユーザーボイスに保存し、それをパフォーマンスで呼び出す形にしている。

サウンドコメント
Ld:ANSaw01
自分で作った、鋸歯状波リード。特にひねりなし。ピッチベンドもビブラートも、なかなかになめらかである。
Ld:ANPulse01
鋸歯状波から矩形波に切り替えたもの。
Ld:MaiseAT
おお!ライル・メイズだぜ!というプリセット音。「AT」は、アフタータッチでビブラートがかかるように改造したことの目印である。
Br:FattyAT
わりと普通なブラス。悪くない。
Br:ToToHornAT
TOTOのデビッド・ペイチとスティーブ・ポーカロが目に浮かぶいい音なのだが、単音で弾くべきだった…。
St:SoLinaAT
AN音源万歳!と思ってしまうアナログストリングス。この後も、ストリングス系の音色はほぼすべて拾ったので、同じような音が多く、どれがどれだか、という感じだが、ご容赦願いたい。
St:MultiSawAT
複数の鋸歯状波を重ねて「マルチソー」と呼んでいるのであろう。ただ、プリセットのデータをAN1xEdit側へ引き出すことはできない(というか、私はできていない)ので、内部のパラメータがどうなっているのかは、これから試行錯誤して研究していかないといけない。するかどうかはともかく…。
Ld:SilentAT
大好き。お見事。
Ld:ChickAT
チック・コリア風味のリード。改めて聴くと、トランペット風なんですね、これって。
Pd:SusyAT
名前がどこから由来したのか、私にはわからない。
Sc:P5SawAT
フィルターがキャンキャンいう感じが楽しい。少しダル(dull)な感じがするのは、どういうシカケなのだろうか。
Ld:JHammerAT
ヤン・ハマーだぜ!という音。元はモノだったのだが、ポリに切り替えた。すみません。
Br:ANSftBrAT
いい鳴りしてますな。
St:AnalogAT
特徴がない…。でも、アナログシンセ的。エフェクトを盛っていくといいかも。
St:ChoclateAT
チョコレートのように甘く、くどい、のだろうか。私自身は、チョコレートは好きである。
St:StringerAT
アタックが速いので、それを使ってちょっとマルカート風に。
St:LushAT
lushという単語は、草がみずみずしく茂った、という意味だろう。豊かに育ち、迫ってくるようなストリングス、ということだろうか。この単語はストリングスの形容詞としてよく使われる。何か、元ネタがあるのだろう。
St:BonnAT
アタックの遅いストリングスだと、テンポを後ろに引っ張られる。
St:PwmStrngAT
PWMって、低音側で音が揺れ過ぎることが多いのだが、これは何かシカケがあるのだろうか。本当にPWMなのかなぁ。
St:AnaStrngAT
録音したものを聞いたら、それなりにいいですな。
St:StrngPadAT
アナログストリングスマシンを思い出す。SS30は押し入れの中であるけれど。

サウンド:PLG150-DXを追加

MOTIF-RACK ESにPLG150-DXを追加し、PLG150-DXの音を使った例を紹介する。上の写真は、右がPLG150-DX、左がPLG150-VLである。

サウンドコメント
1 DX E.Piano
DXエレピですなぁ。単体では大した音色という感じはしないが、アコピと混ぜると良かったような記憶がある。
13 Bogi Bass
モジュレーションホイールでビブラートがかかる音を選び、その「AT PMod」パラメータを上げ、アフタータッチを意識して弾いてみた。ちゃんとかかる。これは嬉しい。これまで、PLG150-DXのプリセット音にアフタータッチでビブラートをかけるのはすごく大変だろうと思っていたが、違った。誤解していてすまん。
Kb:DXEPiano
PLG150-DXをMOTIF-RACK ESに入れた場合の「PLG PRE1」バンクの1番に入っている「Kb:DX E.Piano」をパフォーマンスに入れたもの。エフェクトの設定はちゃんとコピーしてはいない。薄くノイズがかかっているが、これは、PLG150-DX内部が12ビットで、それに起因するノイズではないかと推測している。オリジナルのDX7もかなりノイジーで、それと同じものではないかと思う。
Kb:FullTine
「PLG PRE1」バンクの2番に入っている「Kb:FullTine」をパフォーマンスにしたもの。これに関しては、MONTAGEに移植したものの方が好きかもしれない。そちらに慣れてしまったせいか。もともとFullTineはDX7IIの音で、初代にそっくりなPLG150-DXには合わないのかもしれない。
Kb:EPiano2
パソコンのハードディスクにあったMidiQuestのファイルを開いて転送した音色の一つ。DX7で使っていた。上の「Kb:DXEPiano」に近いが、まったく同じものではないと思う。
Ld:Silkroad (Performance)
昔DX7で作った音色。DX7は音色ごとにポリとモノの設定ができなかったので、ポリで使っていた。今回、モノにしてポルタメントをかけて、と細工したのだが、パフォーマンスに入れたらそれが再現されなかった。うーむ。バグではないかと疑っている。ビブラートはアフタータッチでかけている。
Ld:Silkroad (Voice)
こちらはボイス。ちゃんとモノになり、ポルタメントもかかっている。ディレイも大きい。

サウンド:PLG150-VLを追加

MOTIF-RACK ESにPLG150-VLを追加し、PLG150-VLの音を使った例を紹介する。

サウンドコメント
1 Trumpet 1
トランペットはヤマハVL音源を代表する音の一つであると思う。ピッチベンドが非連続でかかるのがすごい。今回の演奏では、Cへせり上げようとしたら、なんとそこまで上がらなかったので、弾き直した。やれやれ。

サウンド:PLG150-APを追加

MOTIF-RACK ESにPLG150-APを追加し、PLG150-APの音を使った例を紹介する。

サウンドコメント
Ap:CF3Grand
PLG150-APの1番グランドをパフォーマンスに入れたもの。A4000に付属してきたCD-ROMのCFにちょっと似ていると思う。ディケイが短めで、でも、サスティンレベルはけっこう高い。

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